女は大胆というが、『節約生活のススメ』で80万部という大ヒットを飛ばした山崎えり子の大胆さもすごい。

自分に夫がいるにもかかわらず、他人の戸籍を買って、その女になりすまし、別の男と重婚していたというのだから、どういう神経をしているのだろう?


ふつうだったら、ひっそり、おどおどと暮らすものだが、反対に本を書きまくっていたのだから、いまはやりの小悪魔どころではなさそうだ。

私が在籍した祥伝社では、彼女の本を10冊くらい出しているが、どう始末をつけるのだろうか?

大学卒業後、福祉関係の公務員として5年間、たびたび視察に訪れたドイツで「質素でありながら豊かな暮らし方に感動した」という経歴もすべてでたらめだったというのだから、出版社の責任は重い。


「そんな女性とはまったく知らなかった」という弁解は通らない。

私の長年の経験とカンでいうならば、担当編集者はうすうす気がついていたのではないか、と思うのだ。

なぜなら、長いつき合いの間にどこの公務員だったのか、ドイツのどこに行ったのか─といった具体的な質問をしているはずであり、年齢、出身地、大学名、卒業年度、勤務先などを知っていくにつれ、必ずチグハグなところが出てくるからだ。


それはともかく、いまの時代は相手をよほど疑ってかからないと失敗する。私自身、何度もだまされた体験者だけに、あえて忠告したいのだ。


男も女も、有名人、経営者、政治家であっても、最初から信じないほうがよい。まして名刺など、ありがたがってはいけない。いくらでもパソコンで印刷できる時代だからだ。いま一度問おう。いまの恋人や夫(妻)の経歴は、信じられるか?