今年は松田聖子の25周年記念コンサートに当たる。公演の最後は彼女の出身地、九州福岡で行なわれるが、私は7月24日横浜アリーナで応援した。


この日はゆずも近くの日産スタジアムで凱旋ライブを開いていたが、横浜アリーナは、その熱気を上回る中年女性ファンのパワーが炸裂した。そのせいか、珍しく聖子が大ヒット曲「抱いて」の途中で、歌詞を忘れてしまった。


こんなシーンを見るのは、雑誌で芸能関係に携わって以来初めてで、会場も一瞬凍りついてしまった。歌手としては屈辱である。しかしさすがに松田聖子は大物だ。観客の笑いをとりながら、再び歌いはじめたのだが、そのあと、さまざまなサービスを加えたのだ。


さわりしか歌う予定のなかった「奥様は魔女」のCMソングを、即席でバンドに弾かせて全曲歌ったり、さらには熱狂的なアンコールに3度も応えて、5曲も歌うなど、ファンサービスは徹底していた。

私を連れて行ってくれたのはD書房のO嬢だが、今年で3度めになる。


このショーを観るには一定のルールがあり、座って聴くべき曲と、立って一緒に歌い踊る曲などを知らなければならない。腕のふり方も同様だ。根っからのファンの彼女は、一挙手、一投足がさまになっている。途中で話しかけたら「うるさい!」といわんばかりに無視されたが、こんな熱狂的なファンをもつ聖子はしあわせ者だ。


それにしても各企業は、なまじ専門家のおっさんのCS講演を聴くより、聖子のコンサートにくるほうが、生きたサービスの真髄を学べると思うのだが─。