上司に対して様々な状況を伝える方法を、よく「ほうれんそう」という
言葉に例えて表現する事があります。
何処かの企業に就職した際には、多くの社員さん方は、この言葉の
意味を勉強させられますよね。
パートの身であっても、朝礼などでこの言葉を度々耳にする機会が
年に数回はあります。
ほうは報告、れんは連絡、そうは相談。
報告、連絡、相談を職場の責任者にきちんと行う事は、様々な仕事上の
問題点やミスを発生させない為の大切な手段であり、それを守る事は
会社の信用を保つ事にもなるのです。
ただ、ここにある矛盾があります。
こういういい手段を、こんな端的で分かり易い言葉にまとめ
それを実行させようと試みてはいても、何故か受ける側の上司が
この三つの言葉を撥ね付けるような構図があると思うのです。
まず、経費が掛かる事を嫌がる体質。
そして、人の手配や人手の要ることを避けようとする体質。
仕事の段取りを新規に作らなければならない面倒を疎ましく思う体質。
やれと言っているわりには、それを受け付けない妙な雰囲気が存在しています。
ホウレンソウがおひたし状態?
応答無し~ひらめき無し~対策無し~進歩無し~こんな上の人が多くないですか。
こういう見えない圧力があって、報告連絡相談しろと言われても
切り出したらいけないような感覚を持ってしまう事は無いでしょうか。
こうなると何がほうれんそうだと思えてならないのです。
今回のエレベーター事故でも、確かに定期検査などを行い
担当者は、やるべき仕事はこなしていたのかもしれません。
でも、不具合を耳にしてもそれを重大な事だという視点で
見つめる事もせず、例え疑問が残ったり、放置していいものか
悩んだりしても、「異常なし」を会社に持ち帰る事が何より1番の
仕事ぶりだと勘違いしていなかったでしょうか。
そして、その会社の上司は、いかなる些細なトラブルであっても
それを報告させる事を最優先させていたのでしょうか。
人間の命に関わる機械を扱っている事に、とても神経が行き届いていたとは
思えないのです。
ほうれんそうを本当の意味で実行できる職場と環境。
それを守らせる責任と義務さえ守っていれば、こんな悲惨な
事故は起こらずに済んだのに。
まだ高校2年生。未来ある少年は死なずに済んだのです。
機械の不具合や欠陥を追及するよりも、まず改善しなければならない
企業体質があるのではないでしょうか。