2015年度決算の質疑をする決算特別委員会のなかで2日間、外郭団体の日が設けられています。


決算の審査をする参考にするために、外郭団体の人に来ていただいて団体の活動の説明を受け、質疑をするという日です。


質疑は10月6日に行ないました。


私は、社会福祉事業団のことと社会福祉協議会のことを質問しました。


今回は、事業団のことをご紹介します。内容的には、2015年度決算の保健福祉費のところで質疑したものの関連です。



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(かとうぎ桜子)

まず、社会福祉事業団について伺います。


先日、2015年度の決算の保健福祉費の質疑で、練馬区が指定管理として任せている高齢者施設の労務環境調査について伺ったのですが、社会福祉事業団については、昨年度7施設が調査を受けています。従事者のアンケートは187名の方が対象になっています。


社会福祉事業団は、研修体制もしっかりとり、各施設のとりくみの活動報告をされるなど、現場の方が主体的に仕事をされる工夫をしてきたということは理解しているのですが、ただ、どうしても気になってしまうのが、今回のアンケートの中で2名「今の仕事が社会に役立つ有意義な仕事だと思うか」という問いに「いいえ」と答えている人がいることです。


数は少ないですが、特に気にかけなければならないところであると思います。


こうした点を解決していくためには、研修や職員の相談を受ける工夫、意見交換の場を設けること、シフトの工夫など、介護従事者が抱える悩みを早期に解決することが必要な部分であると思いますが、社会福祉事業団はどのように取り組んでいるのかお聞きします。


(社会福祉事業団常務理事)

はじめに、指定管理者施設における労務環境調査についての結果ですけれども、対象187のうち2名の職員が少しネガティブな回答であったということです。

ただ、大多数の職員については、社会に役立つ有意義な仕事であると答えているところです。



これは、年齢や経験年数などから、職員の意識に差があることは、社会福祉事業団に限らず、どこの職場でもあると考えているところです。


社会福祉事業団では、職員の意識向上を図るために、日ごろから良好なコミュニケーションを図るよう指導、また研修を行なっているところです。



それから、介護従事者が抱える悩みを解決していく手段です。



社会福祉事業団においては、各職層におけるコミュニケーションに関する研修での対応、それから事業に関しまして、専門家が各職場を定期的に訪問しまして、仕事の進め方、方法など、OJTとして指導していく仕組み、それからラインを通さずに直接、本部にございます担当課長に相談できる仕組み、また健康やメンタルヘルスに関する悩みですけれども、これは委託でございますけれども、24時間体制で相談できる仕組み。


さらに1年に1回、勤務終了後に、5つの特別養護老人ホームを拠点としまして周辺事業所の職員が理事長と直接話をする理事長懇談会も開催しているところです。



介護従事者の悩みを解決していく最も大切なものは、日ごろからの良好なコミュニケーションの構築だということで考えているところでございます。



引き続き、職員研修や管理職への指導等を通じまして、良好なコミュニケーションの構築を図っていきたいと考えているところです。


(かとうぎ桜子)

介護の経験年数などでの差もあるという話でしたけれども、その時々の状況に応じて、早期に職員の困りごとや悩みを職場として捉えていく取り組みは大切なことだと思います。


社会福祉事業団は研修センターの事業もありますが、職場内のコミュニケーション等のノウハウに関しても、ぜひほかの法人とも共有していただければと思います。

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保健福祉費の時にも書きましたが、福祉施設で「この仕事は社会に役立つ有意義な仕事と思えない」という気持ちになる人がいるのは、大変なことです。


ただ、だからこの施設がダメなんだ、とダメ出しすれば良いということではありません。

たとえ一時的であってもこういう気持ちになっている人がいることは早い段階でとらえて、解決に向けて職場全体で取り組むことが大切であると思います。


こういう気持ちになってしまったのは、仕事がきつすぎるのか、利用者との関係性がうまくいかないことに悩んでいるのか、職場の人間関係なのか…など。


私が福祉の仕事をしているとき、何度も、「利用者がわがままなのよ。だからわがままを黙らせるのが専門職だ」という言い方をする従事者と出会いました。とんでもないことだと思います。


うまくいかないことがあったとき、その理由を相手のせいにするのは一番簡単です。これは、普段の人間関係の中でもあることですよね。だけど、福祉の従事者は専門職なのだから、そういう自らの感情をまずは洞察し、原因を相手のせいにするのではない方法での解決をしていかなければならないと思います。


障害特性などの研修を受けたり、職場で悩みを話し合う場がきちんと確保されなければ、「悪いのは自分じゃなくて相手だ」という認識にずれていってしまうことはありうるし、それが高じれば「こんな仕事、意義がない」という方向にもなり得る。それが施設内虐待などにつながることもあり得ます。


事業団のことについては、上記の答弁でも詳しく体制を説明してもらいましたが、職場でのコミュニケーションを通じ、一時的にネガティブな回答が出てもそれが改善されるように努力しているという話を、個別にも聞きました。


そうやって解決する取り組みは、事業団のみならず、法人を超えて共有していくべき点であると思います。