介護保険制度は改定されるたびにとても複雑になり、できるだけ分かりやすく説明したいと思っても困難なほどですが、昨年度から始まった介護予防・日常生活支援総合事業の中でも生活支援コーディネーターという人が関わる部分について取り上げましたので、まずはお読みくださいm(__)m



解説も書きたいのですが、長文になりすぎてブログに投稿できなくなってしまったので、まずは質問と答弁から。

(解説編はこちら をご覧ください。)
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(かとうぎ桜子)

地域福祉について伺います。


2015年度から介護予防・日常生活支援総合事業 が始まりました。


総合事業とは何か、国のいう説明をそのまま読みますと、

市町村が中心となって、地域の実情に応じて、住民等の多様な主体が参画し、多様なサービスを充実することにより、地域の支え合いの体制づくりを推進し、要支援者等に対する効果的かつ効率的な支援等を可能とすることを目指すものである。」

ということです。

複雑でわかりづらいですが、要介護認定が要支援の状態の方が利用するサービスは2014年度までは介護予防訪問介護、介護予防通所介護だったものが、2015年度から総合事業に変わった、ということです。そしてこの総合事業は、今練馬区が実施している、介護の事業所が中心に行なっている訪問や通所サービスだけではなく、住民主体の活動も行なっていくということを想定しているものです。

この総合事業の中に、「生活支援コーディネーター」というものがあります。

厚生労働省が発行している「介護予防・日常生活支援総合事業のガイドライン 」にある、生活支援コーディネーターについての説明を読みますと、

「高齢者の生活支援等サービスの体制整備を推進していくことを目的とし、地域において生活支援等サービスの提供体制の構築に向けたコーディネート機能を果たす者」

ということです。


従来のケアマネジメントとの違いは、サービスの調整だけではなく、資源開発をすることだといいます。

生活支援コーディネート機能は3層で実施すると考えられていて、第1が市町村、第2が中学校区域などの日常生活圏域、第3が個々の事業主体でのマッチング機能であり、国は2017年度までに第2層までの充実を目指すとしています。


そしてこの活動をしていくにあたっては、「協議体」というものを設置することにしています。これもまたガイドラインに書かれている説明を読みますと、

「市町村が主体となり、各地域におけるコーディネーターと生活支援等サービスの提供主体等が参画し、定期的な情報共有及び連携強化の場として、中核となるネットワーク」

であるということです。

具体的には、地域のニーズと資源の状況の見える化、多様な主体への協力依頼などの働きかけ、関係者のネットワーク化、目指す地域の姿・方針の共有、担い手養成やサービスの開発、ニーズとサービスのマッチングなどを協議体で行なっていくということです。

練馬区は、第6期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の中で生活支援コーディネーターを2015年度に1名、2017年度には3名置き、合計4名とするという計画を立てています。社会福祉協議会に委託して、「地域福祉コーディネーター」と一体的に実施していくと聞いています。


また、協議体については計画には具体的な年度の記載はありませんが、設置することとしています。

総合事業は、国が介護保険の給付の抑制を進めようという中で作られたものですが、今までの業務と重複する部分が増えて現場が疲弊したり、本当に必要な人に必要な福祉的支援が届かないようなことが起こってはなりません。地域の活動をコーディネートできる専門職を育てて地域の活性化につなげることができるかどうかが問われる事業となると考えます。


そこで、何点か伺います。
まず、現在の練馬区における介護予防・日常生活支援総合事業の実施状況・利用状況についてお聞きします。

二点目に、区として、生活支援コーディネーターが果たすべき役割をどう考えているか、お聞かせください。

また、総合事業の中には訪問型サービスAというものもあり(※訪問型サービスAについては、かとうぎ桜子区政レポート5月号の2枚目をご覧ください。こちら、区はその従事者研修もやっていくということですが、これは生活支援コーディネーターが関わるサービスとはどのような関係になるのか、サービス内容の違いについてご説明ください。

三点目に地域福祉コーディネーターとの関係についてうかがいます。

社会福祉協議会で実施している地域福祉コーディネーターは、地域での支え合いの力を高めることを目的としているものであると区は説明していますが、具体的にはどのような活動をしているのでしょうか。生活支援コーディネーターとはどのような関係になるのか、また、どのように人材育成を進めていくのか、お聞きします。


四点目に、生活支援コーディネート機能の進め方について伺います。

国は、生活支援コーディネート機能を3層で実施するというイメージを示していますが、その点は区としてはどのように進めていく考えなのかをお聞きします。


五点目に、協議体について伺います。

国として協議体の事務局をどこに置くかの定めはなく、地域の状況に応じて実施していくものであるとガイドラインに示されています。要支援の方へのサポート体制を検討する場なので、地域ケア会議との役割はどのように考えていくのでしょうか、練馬区としては協議体の役割をどのように考えているのかをお聞きします。また、住民参加を進めることも必要ですが、参加メンバーをどうするか、事務局はどこが担うか、いつから実施するかなど、今後の方針をお聞かせください。


最後に、出張所を拠点とした見守り事業について伺います。

地域福祉・福祉のまちづくり総合計画には、当面、モデル事業を行ないながら出張所を拠点とした地域の見守り活動を進めていくとありますが、このモデル事業も社会福祉協議会の地域福祉コーディネーターが関わって実施していくとのことです。地域の課題を縦割りにせずに包括的に対応できる体制は必要と考えますが、このモデル事業の進め方について、区の方針をお聞かせください。


(福祉部長)

地域福祉コーディネーターについてです。


練馬区社会福祉協議会の地域福祉コーディネーターは、地域に出向いて区民の皆さんと地域課題を共有し、一緒に解決していく小地域福祉活動を行っています。

区内でこどもの安全にかかわる事件があったことをきっかけに、福祉作業所の利用者が小学一年生の下校時刻に合わせて散歩をして、子どもの安全を見守るという活動が始まりました。地域福祉コーディネーターは、こうした「ともに支え合う」地域を作るための様々な活動に、地域の実情に応じて取り組んでいます。

地域福祉コーディネーターは、生活支援コーディネーターの役割も担っております。
高齢になってからも地域で活動した区民を、地域福祉コーディネーターの様々なネットワークを活用し、ご本人に適した地域活動につないでいます。

地域福祉コーディネーターの人材育成については、練馬区社協におけるOJTのほか、全国社協主催の生活支援コーディネーター養成講座や東京都社協主催の地域福祉コーディネーター研修の受講、他自治体との情報・意見交換等により、スキルアップを図っています。


最後に平常時のゆるやかな見守りについてです。現在、大泉西地域で「安全まち歩き」や「見守りサロン」づくりに取り組んでいます。谷原地域では、「気になっていること」「あったらいいなと思うこと」から始めて、現在はこれからどう進めていくか、勉強会を開催しているところです。これら出張所を利用したモデル地域で、地域の皆さんや練馬区社協、高齢者相談センター支所等との連携を深め、地域の見守りを推進してまいります。


(高齢施策担当部長)

私から、高齢者の支援体制についてお答えします。


はじめに、介護予防・日常生活支援総合事業の実施状況についてです。
総合事業は、地域で高齢者を支える体制を構築するため、自治体がサービス提供を工夫できる仕組みになっています。平成27年度末現在、国基準による訪問介護・通所介護は約2900人、区基準の訪問介護・通所介護は約1100人、延べ約4000人がサービスを利用しています。


次に、生活支援コーディネーターについてです。
生活支援コーディネーターの主な役割は、高齢者の支援を行なうNPOや民間団体などを常に把握し、活動意欲のある区民を団体の活動と結び付けることです。区内4か所のボランティア・地域福祉推進センターとコーナーを拠点に活動をしています。昨年度は、43名の区民をボランティアとしてNPO団体などの参加に結び付け、食事の配達や介護施設での話し相手など、さまざまな支え合いの活動につなげています。

総合事業の訪問型サービスAの従事者は、研修後にハローワークを通じて介護事業所の職員としてサービスを提供しています。生活支援コーディネーターは関わりません。

生活支援コーディネーターの体制について、国の考えでは第1層は区市町村域、第2層は日常生活圏域、第3層は個々のサービス提供主体の活動区域とされています。区では第2層の、練馬、光が丘、石神井、大泉の地域ごとに生活支援コーディネーターを配置して、活動をしています。

次に、生活支援体制に関わる協議体についてです。
協議体は、国の地域支援事業実施要項により定められています。地域の生活支援サービスを充実するため、生活支援コーディネーターや、地域のサービス提供団体が課題を共有し、連携を強化する場です。一方、地域ケア会議は、介護保険法により定められています。他職種協働による個別事例の検討を行なうことで、効果的なケアマネジメントの支援等を進めるものです。協議体とケア会議は、それぞれの会議において協議した内容を、必要に応じて共有します。

協議体の場は今月から設置することとしています。区および生活支援コーディネーターが事務局となり、サービスを提供するNPO団体や、練馬介護人材育成研修センターなど、約20団体の参加を予定しています。生活支援の現状と課題の共有からはじめて、協力できる関係づくりを進めます。協議体を運営していく中で、参加メンバーを充実するなど、高齢者を地域で支える体制を構築してまいります。