当初の予定通り、午前中に四人部屋に戻ることになった。
移動の前に看護師さんがベッドから起き上がるのを手伝ってくれようとしたのだが、特に介助の必要もなく、ベッド自体を起こすのも忘れて、柵に掴まり腹筋を使って起き上がる。
昨日は恐る恐る動いていたのだが、慣れてしまうと平気だ。
傷は痛いことは痛いのだけれど。う~ん、桜子は少し痛みに鈍いのかも?
点滴スタンドを引きながら(押しながら?)スタスタと歩く姿も、もう術後の患者とは思えないと言われる。
まあ、すごいすごいと褒められるのは、患者を調子に乗せるというか褒めて伸ばすというかそんな感じなのかも知れないけどさ(^_^;)
夕方、母と話すのにデイルームに移動しようとベッドを自動で起こした際、思わぬトラブルがあった。
ベッドを起こした際に枕が転がり落ちて、術後から続いている硬膜外麻酔の細い管に直撃し、ぶら下がっている球状の袋に繋がっている先端が抜けてしまったのである。
さすがにこれはマズイ!と思い、すぐさまナースコール。
どうしました~と、母がいちばんお気に入りのベテラン看護師Kさんが来てくれる。
「何か、抜けちゃったみたいで…」
「ええっ!?」
うしろを確認して、背中に刺さっている方はとりあえず問題なさそうなのを見て、抜けてしまった先端を桜子の肩に乗せる。
「ちょ~っと動かないでいてね」
ええっ…
Kさんは首から下げたPHSで電話をかけながら、慌ててスタッフステーションに戻って行く。
それから間もなく「先生がいてくれて良かった~」と話しながら、U先生と戻って来た。
「あっ!動いたね!?」
肩から管が落ちてしまっていたのだが、そんなご無体なことを…
せめて持たせて欲しかった(-"-)
背中に刺さった針からピアノ線のような細い管で繋がっているこの球状の袋は、中身が減ってどんどん萎んできていた。
ちなみに球はネットに入れられて、出歩く際は首から下げられるようになっている。
U先生はネットを持ち上げて、まだ少し残っている中身を確認した。
「もう抜いてしまってもいい時期なんですが、血栓が出来ないように血液をサラサラにする薬を流しているので…」
と、新しく用意された先端を球に接続し直してくれたのだった。
「ポケットある?あるね!これここに入れちゃいましょう!」とKさん。
はい、すみません、以降は気を付けます。
…って、引っ張られるのが気になって落ち着いて寝転がれないわ~(+o+)