題名のない音楽会(バカにするなよブルグミュラー)  | NORISの絵本箱

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お気に入り絵本、おすすめの絵本をつづります。
いつもの読書、お気に入りのクインテットの記録なども。

ピアノを習った人のほとんどが一度は弾いたことがある「ブルグミュラー25の練習曲」に
スポットライトを当てる特集。
ゲストは宮川彬良さん、西原稔さん、演奏は東京フィルハーモニー交響楽団です。

アキラさんはおうちに代々伝わるという教本(書き込みだらけ!)を手に登場、
ピアノ練習曲の定番「ブルグミュラー 25の練習曲」の魅力に迫ります。

♪1:アラベスク(オケ+ピアノ)
ピアノ学習者のあいだでも人気No.1の「2番 アラベスク」は「アラビア風に」の意。
「剣の舞」を思わせるかっこいいアップテンポバージョン。
ブルグミュラーの魅力その1は、ピアノ初心者でもかっこよくひけちゃうこと。
「ピアノの発表会あるある話」として佐渡さんがお子さんの頃、発表会会場のピアノの
ブランドマークがご自宅と違ったために「ド」の場所がわからず大失敗だったという
エピソードが披露されます。

♪2:清い流れ(ピアノソロ)
魅力その2、立体的な音楽である例として、小川のせせらぎがきこえてくるような
「7番 清い流れ」が紹介されます。魅力その3、歌心がある、にもつながっていきます。
ここで二人目のゲストとして音楽学者西原稔さんが登場、ブルグミュラーという人物について
改めて紹介します。ときはパリのサロンでショパンやリストがもてはやされていた時代、
流行歌のメロディをうまく使って編曲しているところはどこかアキラさんと重なるようでもあり。
サロンの主宰者もピアノ愛好家も女性がほとんどだった時代に受けたと思われるのが
次の女性を主人公にした人気曲です。

♪3:貴婦人の乗馬(オケ+ピアノ)
練習曲の最後を飾る「25番 貴婦人の乗馬」は「♪上下動上下動わたしは貴婦人」と歌詞を
あてながら弾いてみると馬にゆられる貴婦人の姿が目に浮かぶようなたのしい作品。
ラッパのファンファーレや馬のいななきを模したアレンジはクインテットでもおなじみの
おもしろい演出です。
ブルグミュラーは実は弟のノルベルトも作曲家でシューマンに「天才」と評されるも夭折、
同じシューマンがブルグミュラーのことは「ちょっと軽い?」といったとかいわないとか。
この教本が日本で定着したわけは、文明開化とともに入ってきてバイブルとなったことと、
親しみやすい曲名がこどもに人気だったおかげのようです。
なかには想像が広がる曲名もあります。ということで・・・

♪4:スティリアの女(オケ+ピアノ)
その一例が「14番 スティリアの女」オーストリア南部の地名らしいけれど、どんな人
なのかしら、と刺激を受けるタイトルです。
アキラさんは「ブルグミュラーはオーケストラの音を想像しながらピアノ曲をかいていたのでは
ないか」と、また佐渡さんは「「音の法則」のような音楽の基礎が詰まっている」と改めて
発見しました。

♪5:バラード(オケ+ピアノ)
最後は「アラベスク」に次ぐ人気曲「15番 バラード」、ピンクパンサー風で、葛藤し
自問自答するような調べです。こどもが弾くにはずいぶん屈折した雰囲気の曲ですが、
声楽曲だった「バラード」を器楽曲として確立したのはショパンだそうです。
聞きながら「立体的」で「歌心」があって「ブルグミュラーはオケの音を想像しながら
書いていたのでは」というアキラさんの仮説がいっそう真実味を帯びてきました。

今回紹介されたものは、みな「クインテット」の室内楽版をさらにオケ版に進化させた感じで
(クインテットのレパートリーで今回登場しなかったのは「帰途」のみ)、私自身こどものころ
さらった曲もあり、なつかしさとうれしさいっぱいでした。
と同時に25曲ぜんぶのアキラさんアレンジがぜひ聞いてみたいなぁ、という思いも募りました。