手仕事

 高村薫さんの 『レディ・ジョーカー』 を貸して。

 と言われて持って行きました。

 そしたら、梨木香歩さんの 『からくりからくさ』 読む?と

 聞かれたのです。

 私は、はい。とうなづき、そして借りました。

 

 これは、一見とても女の子の話です。

 外側はそのようなもので包まれています。

 お人形、機織、染色・・・。

 最初、閉口しました。

 なぜなら、私はお人形に愛着が持てない性質だからです。

 むしろ、怖いと感じます。

 ぬいぐるみやお人形を可愛がろうという気持ちが

 子供の頃から無いのです。

 だから、古い人形にまるで人のように接する世界に

 馴染めませんでした。

 だけど、偶然知り合い、一つの家に住むようになった

 女の子たちが、人形に導かれて出会うべくして出会ったことが

 次第に明らかになるにつれ

 その世界に対する違和感は薄れ、

 気づいた時にはすっかり取り込まれているのでした。

 そうして、そうなって初めて、これは単なる女の子の話ではない。

 とわかるのです。


 日々の営み、日常の細々したこと。

 それが人間の生きてきた証。

 それが脈々と、命から命へ伝わっていく。

 そういうことが、甘い飴の殻の中に詰まっていると感じるのでした。