月曜あたりから歯が痛むので、先日、歯医者の予約を取っておいた。

 今日の9時半である。

 最寄り駅から3つめの駅で降りる。

 改札を左に行くと皮膚科、右に行くと歯科となっている。

 歯医者に行くのは一年ぶりだ。

 つい、通い慣れた皮膚科のほうに行きそうになった。


「虫歯じゃないですね。歯磨きの仕方がよくないので、歯の根元が削れています」

 医師は、しみると訴えた箇所をチェックし、優しく言った。

「歯ブラシを横に動かすときは、90度じゃダメですよ。もっと寝かせて、30度くらいで磨いてくださいね」

 医師に話しかけられても、口を開けているので返事ができない。

「わかりました」と言いたくても、「あががっ、ががが」なんて発音になる。

 いっそ、黙っていたほうが身のためだろう……。

「前歯だけじゃないですよ、他の歯も相当削れていますから、かなりしみるでしょう。樹脂を塗って保護しておきますね」

 そういって、医師は歯に何やら塗り始めた。

 今言った樹脂なのだろうが、作業の様子がわからないと、ちょっと不安になる。


 おや?


 医師のメガネに、私の歯が映っているではないか。

 白いペースト状のものを、細いバターナイフのような器具で、前歯の上に伸ばしている最中だった。

 医師の神経は歯に集中している。

 私が、ジッとメガネを凝視していても、気がつかないだろう。

「じゃあ、また来週来てください」

 次の予約を取って、私は家に戻った。


 お昼は稲庭うどんである。

 冷たい麺とつゆに、歯は耐えられるか。

 なにしろ、ヨーグルトでもしみて痛かったくらいだ。

 私は、おそるおそる食べてみた。

 つるつるつる。


 あっ、大丈夫!


 これなら、アイスだっていけそうだ。

 歯医者さん、どうもありがとう♪

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 「これはしたり~笹木砂希~ 」(エッセイ)

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