7月に、本羽田干潟で捕まえてきたカニは、今一匹しか残っていない。

 3匹のヤマトオサガニが2週間ほどで死に絶え、コメツキガニも姿を消し、一番愛嬌のあったアシハラガニも1カ月の命だった。

 しかし、クロベンケイガニだけは環境に適応したようで、5カ月経った今でも元気に生きている。

 1匹しかいないのが可哀想だと、ずっと前から思っていた。

 ところが、今日、家に帰って水槽をのぞいてみたら、カニが2匹に増えているではないか!!


うつろひ ~ 笹木 砂希 ~-皮とカニ

 何故か、おわかりになるだろうか。

 私は驚き、夫に話しかけた。

「ねぇっ、クロベンケイガニが脱皮したよ! すごいね!!」

 そう、この画像のどちらかは生きていて、どちらかは皮だけなのだ。

 中は空といえども、非常にリアルで見分けがつかない。

 狭くて居心地の悪い水槽でも、着実に成長しているところに感動した。

 なんと、たくましい生命力であることか。


 正解は。

 左がクロベンケイガニで、右が皮である。

 皮を持ち上げると、中身がないから、足がダラーンと垂れ下がってしまう。


うつろひ ~ 笹木 砂希 ~-皮

 仲間と勘違いしているのだろうか。

 それとも、自分の一部だったものに愛着があり、離れがたいのだろうか。

 クロベンケイガニは皮に近づき、寄り添うそぶりを見せた。


 しばらく、このまま入れておこうかな。


※ 他にもこんなブログやってます!

 「これはしたり~笹木砂希~ 」(エッセイ)

 「いとをかし~笹木砂希~ 」(エッセイ)