微量要素の必要性(石灰不足編) | さかたのみかん

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みかん農家として独立したので、タイトルを変えました。
家業は相変わらず、肥料屋です。

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久しぶりの更新です。

 

今回はある市場関係者であり、近々家業のみかん栽培を引き継ぐかたにうちのみかんを商売とは別に評価してもらいました。

 

彼に評価してもらいたかったのは、FBの投稿を見てもきちんとみかんの生理に基づいたことが書いてありますし、流通業者としての目を持っているからです。

 

本題ですが、送ったみかんを剥いた写真が送られてきました。

 

 

真ん中が空いてますね。

 

これは石灰(カルシウム)の欠乏による症状だそうです。

 

一房の写真ですが、きちんと房が形成されていません。

 

石灰(カルシウム)の必要性も説いてくれました。

本人に許可もいただいているので、一部引用させていただきます。

 

 

(一部引用始め)

 

人間と植物の細胞の違いは細胞壁の有無です。(筆者加筆)

 

石灰、つまりカルシウムはペクチンと化合し、細胞壁を作ります。

細胞壁ができていないときちんと肥大ができず、奇形の原因、細胞液の流出が起こります。

 

これにより病害虫にも罹患しやすくなります。

またカルシウムイオンは植物体内で病害虫被害におけるメッセンジャーにもなります。

つまり植物体内で病害の被害が出ていますよ、と別の部位に知らせる働きもあります。

そして生理落果が増えます。

石灰欠乏の一番の影響は以上の事柄の影響で収量が落ちます。

収量、つまり着果量は植物体のシンクです。 栄養を引っ張る力にもなります。

 

施肥量は土壌分析でしか求められません。

多すぎても少なくても欠乏症は出ます。

 

塩基バランスというのがあります。

アルカリ性の肥料のバランスで、 カリ:マグネシウム:カルシウムが1:2:5と言われています。 まあこれが正確な数字ではないし植物によってはもちろん違います。

カリは対比の中で1なのに、その3要素で一番施肥されている気がします。 土壌中に石灰量はあっても拮抗佐用で吸収されていない可能性が高いです。

 

房の中心が開くのが最初の症状でひどくなると浮き皮になります。 肥大初期から石灰投与が必要だと思います。

 

石灰欠乏が顕著に出ているものはやや水っぽくも感じましたが、しっかりとできているものは甘味も強くおいしいと率直に思いました。

 

(引用終わり)

 

 

ちなみに石灰分が不足していても、食味には影響ないです。

 

期待以上の返答が返ってきました。

 

「欠乏症の判定もします」とは言ってもらってましたが、まさかそれをどうすれば良いのかまで答えてくれるなんて。

 

浮皮果の味がいまいち乗らない理由もよく分かりました。

 

房がきちんと形成されれば、一玉あたりの重量も今よりか増しますし、実締りもよくなれば日持ち棚持ちが良くなり、味も今以上に乗るはずです。

 

きちんと締まったみかんというのは全てのことに良い影響が出ます。

 

個人的な反省としては、カルシウムのことは全く気にしていませんでした。

 

私の印象に残っている農家さんのカルシウムに対する話としては、浮皮防止のために収穫直前にカルシウムの散布が流行った時期がありましたが、結果は何の効果も出ないというものでした。

 

また以前は春に施肥していた石灰も高齢化や手間解消のためにやらないという農家さんが当たり前のようになっています。

 

更に、私は農学部や農業学校の出身ではないので、植物の基本生理を全く勉強していないので、「カルシウムなんていらない」という極端な結論に至っていました。

 

カルシウム不足が食味に影響を与えないのもその結論に至る要因だったでしょうね。

 

彼も指摘していましたが、どれだけ石灰を投入すればいいかは、土壌分析でしか分からないそうです。

 

しかし、全ての畑の土壌分析は面積が広いと不可能ですし、その結果のよる管理は非常に手間がかかります。

 

それぞれの管理でどうやったら、不足している養分を補給できるのかはそれぞれが探求しなければいけません。

 

まだ話は続きました。

 

次は食味を上げるための話を次回に書こうと思います。