まだ、みかんの出荷をしています。
今年は改植もやらなければいけないので、先週はユンボとその乗り手探しに大変でした。
さて、27年度産のみかんは生産量が少ないことが始めのほうから言われていたこともあり、ある時期はめっぽう安かったですが、年末は結構値上がりしました。
とは言え、うちは市場と相対取引なので、大きくは変わりませんでしたが(^_^;)
しかし、大きく違ったのが東京の市場です。
高値の方に振れてくれるなら何ら問題ありませんが、なぜか出荷するたびに下がっていきました。
幸いにも、小売や宅配、地元の市場からの要求が多く東京までは出せませんでしたが。
その原因が何かさっぱり分からなかったのですが、同じく関東圏に出荷している農家さんから「ある程度の価格を望むなら、糖度12度以上、Lでも11度を保証できますか?」と言われたそうです。
これはそういう糖度のみかんを作れると言われているわけではなく、あくまでも出荷するみかんの話です。
つまり、「農協のみかんは糖度センサーを通しているので、糖度の保証がある」ということです。
全ての物においてそうですが、みかんの多くは当然東京に集まります。
その中でも農協共選のみかんが大半を占めています。
その方が言うにはそれに勝つもしくは同等に扱われるには糖度センサーが必要だと言うわけですね。
この糖度センサー、機械の導入やそれにまつわる建物の増設など含めると、一億円かかる見積りになったそうです。
金額については前から聞いていましたが、やはり個人で導入するのはかなり難しいのが現状のようです。
もっと簡易的で安く済むセンサーもあると思いますが。
大変な時代になったなと思う反面、元々、個選のみかん農家は農協のみかんよりも特長のある物を目指してやってきたはずです。
それは見た目であったり、味であったり人によって様々ですが、消費者から「やっぱりここのみかんじゃないと」と言われるようなみかんを目指してたのではないでしょうか?
また、そういう発言をした担当者にも疑問を感じます。
市場は生産者と仲卸やスーパーを繋ぐ役割ですので、買う側がどういう要求をするか次第ではありますが、「糖度保証してくれたら」というのは厳しい言い方かもしれませんが、怠慢じゃないでしょうか?
みかんに限りませんが、食味って単なる糖度だけで決まるものではありません。
やはり食べてなんとも表現できないものがあります。
単純に糖と酸味のバランスだけでも同じ糖度でも全く違う味に感じます。
この担当者はそれを無視してるとまでは言いませんが、生産者としてはそこを分かってもらいたいです。
とは言え、市場での出来事に農家は関与できないので、やはりやるべきことは「センサーに負けないみかんを作ること」です。
うちのみかんがセンサーを通したみかんに勝てると大仰なこと言うつもりはありませんが、常に目指さなくてはいけない目標なのは間違いないと思います。
みかん農家と肥料屋の二足の草鞋を履く自分としては、ずっと主張してきたこと時代がやっと来たかと言った思いです。
農産物の全てがそうですが、大半が農協共選の物です。
つまりそれが一般や普通と言えるかもしれません。
個人が勝ち抜くためには、その普通では勝てませんよね。
普通にはない特長のあるものを作らなければいけません。
ご購入いただいているお客様のためにも書きますが、食味に関しては特長のある物を作っているという自負はありますが、それだけで農業経営が成り立つわけでもありません。
うちもまだまだ問題は山積しています。
しかし、「味に妥協しない」
この精神はやはり忘れずにやっていこうと思いを強くした出来事でした。