マイムマイム / GRIMOIRE | 安眠妨害水族館

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マイムマイム/GRIMOIRE

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1. マイムマイム
2. エデンのそこ

ぼくとタルパ(人工未知霊体)の物語、という設定で活動中のグリモア。
本作は、初の全国流通盤となる2ndシングルです。

Vo.RyNKさんと、彼が作り出した存在であるタルパ4人。
5人編成ながら、"ひとり"であることを強調するのは、そういった設定を徹底しているからなのでしょう。
目隠しについても、単発的な衣装なのかと思っていたら、ライブ以外では目を出さないという秘密主義的な演出なのですね。

とにかく世界観の作り込みから入るスタイルには、どうしたって期待してしまう。
実際に送り込まれる楽曲群もクオリティが高いので、気になり続けていたですが、いよいよサウンド面もダークメルヘンに近づいたな、というのが表題曲「マイムマイム」でした。

イントロの前にSEを噛ませて舞台設定を整えると、ホラーテイストを持った演奏シーンへ。
ホラーと言っても、本格派のそれではなく、ファンタジー寄りの空気感。
わかりやすく例えれば、"ホーンテッドマンション"のような雰囲気が漂っているのだ。

展開が多く、テンポも拍子もコロコロ変わる。
パーティー調だったと思えば、緊迫感を纏って疾走したり、不気味なメロディを奏でたり。
サビに辿り着けば、ダンスフロアにて優雅に踊っているようなシーンに様変わりしてしまいます。
インパクト勝負というよりも、じっくり聴き込んで味わいを深めるタイプの楽曲ですが、こういうのを待っていた!という内容に仕上がっているため、シングルに採用されたのも納得。
のめり込んで聴いてしまいました。

「エデンのそこ」は、激しさを強調したスピードチューン。
カップリングで現代的な楽曲を持ってきてバランスをとるのは、0th、1stと変わらないパターンなのだが、シンセで奏でられるマニアックなフレーズにより、ギャップを幾分かはマイルドにしているかな。
この手のナンバーに、メルヘンな世界観をもっと強く落とし込めれば個人的には文句なしなのだけれど、ニーズとしてはどちらがあるのだろうか。

来年にはTSUTAYA O-WESTでの単独公演も決定しているグリモア。
ミニアルバム「ワールドエンドトゥリー」に続く完成度の高い作品は、勢いだけでキャパ上げしているわけではない、ということを示していました。
V系シーンだからこその彼らの表現。
この攻勢を2017年以降にも継続して、時代を象徴するバンドに食い込んでほしいものです。

<過去のGRIMOIREに関するレビュー>
ワールドエンドトゥリー
ぼくとタルパ
ひとりトピア