Complete of Demo Tracks / Mercuro | 安眠妨害水族館

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Complete of Demo Tracks/Mercuro


1. MechaniX
2. scissors
3. My Decadence begin to Decay
4. S.E.~TRANCE~
5. 傍観者
6. xxx
7. 血祭前夜
8. S.E.
9. 血混れの招待状
10. 束縛の糸
11. 地獄絵図
12. コワクユウギ
13. 血祭
14. 地獄絵図~S.E.~
15. 血祭
16. 情景~S.E.~
17. 発狂遺伝子
18. 結末
19. 結末~S.E.~
20. 黒十字
21. 自殺薬~Suicide Drug~
22. 発狂遺伝子
23. 多重人格分裂症候群

リクエスト版としてリリースされた、Mercuroの全曲集。
12ページのA4冊子仕様で、Gt.博士さんによる解説が記載されています。

ボーカリストに地獄絵のレアさんを迎えて活動を再開した彼らですが、本作は活動を止める前の正式音源を総まとめしたもの。
"Mercuro First 3"として、結成当初のメンバーであるVo.霞さん、Gt.博士さん、Gt.幸郎さんの直筆サインが裏ジャケットに書いてあるなど、当時のMercuroを再現することに特化していますね。

実際、音質や音量については加工していないのだとか。
良くも悪くも、粗い音質ではあるのだけれど、あの頃の雰囲気を実感できるのは確か。
今となっては手に入りにくい作品や、出典がデモテープの音源を、お手軽にCDで聴くことができるのだから、遡って触れたいと思っていたリスナーにとっては嬉しいリリースでした。

「試供品φ1」、「試供品φ2」、「殺医ノ医学書」、「血祭」、「血祭ノ結末」、「閉鎖病棟ソレハ断絶ノ世界」からの全楽曲に加え、サンプル音源の中で断片的にしか聴くことができなかった「多重人格分裂症候群」の完全版をボーナストラックとして収録。
作品をそのまま入れているだけに、複数回収録されている楽曲があったり、SEも多かったりもするのですが、それでも全23曲というボリュームには驚かされます。
この音楽性で、この密度の濃さ。
ガリガリと体力が削られていくのだけれど、不思議と気持ち良くなってしまうから、中毒性とは恐ろしいものだ。

完全に後追いで聴いているので、"Deshabillzのフォロワー"という評判だけは先に認識していたのですが、それも納得といったところ。
コード進行をなぞるようなメロディ回しに、グロテスクな世界観。
彼らの場合は、そこにどっぷりと闇に浸るような暗黒要素が強く浮き出ていて、更に聴きにくくマニアックな方向に昇華したイメージでしょうか。
当時の音源ということで、スキル面での課題は色々とあるのだけれど、それでも今もなお待ち望んでいたコアなファンがいたというのも頷けますな。

復活後のMercuroには参加していない霞さんが、こういう形で関わってくるのだから面白い。
過去と現在とを並行して提示することで、これにレアさんの解釈が加わったらどうなるのだろう、という今後の彼らへの期待値も高まっていきます。
そうなると、新体制で制作中の「血祭」も楽しみだな。
どす黒い闇の中に深く沈んでいく感覚を、懐かしさとともに味わうことができる1枚。

<過去のMercuroに関するレビュー>
地獄絵図