Transmission Vol.1 / V.A. | 安眠妨害水族館

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オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

Transmission Vol.1/オムニバス

¥2,160
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1. カートリッジ/ゲノ
2. カフキャット/カフカ
3. SPEED SOUL/カシス
4. xxx/xxx

Kapparecords主催のオムニバスCD。
2001年の作品です。

内容としては、サイドプロジェクトやセッションバンドのオリジナル曲を集めた作品といったところ。
当時は、今ほど継続セッションという概念が浸透していなかったうえ、音源制作がそれほど簡易ではありませんでした。
その点では、ある種のレア楽曲たち。
音源として残ったという奇跡には、資料的価値があるのかもしれません。

ゲノは、La'Mule、NaitingeiL、CELLなどで活躍したVo.紺さんと、ex-Vasalla、ex-NaitingeiLのGt.戒依さんによるユニット。
レコーディングでは、戒依さんがベースも担当しており、ドラムにはex-VasallaのK-SUKEさんが参加しています。

Red Carpetを結成し、脱ヴィジュアル系を図ることになる二人によるユニットですので、音楽性もそんな感じ。
ラフなフレーズと感覚的なギターリフが印象的な骨太ロック。
これはこれで良いのだけれど、もっとメロディを立ててほしかったなぁ、と思ってしまう。
求められるものがはっきりしていた当時では、尚更でしたよね。
デモテープやアルバムにも収録されている楽曲だったので、その点でもインパクトには欠けてしまっていたかと。

カフカは、ex-ZXSのVo.チヒロさんと、ZephyrのVo.Caimさんの2MC編成のセッションバンド。
作曲は、ZXSのGt.シュレンさんが担当しています。
こちらは、ネタ優先。
MC二人の会話や掛け合いによってコミカルに進行していくスタイルだったのでしょうか。

良くも悪くも企画モノ。
ただし、Caimさんの幼さの残る声はこのためにあるのでは、と思うくらいにハマっているから何も言えないのである。
サウンド的にもストーリー的にもオチが用意されており、やっつけ仕事とも練られた楽曲とも捉えることができるから面白いかと。

ex-雫...、ex-Medical Trance PeachのGt.HIZMIさんが、Vo.HIZとして在籍していたのはカシス。
演奏陣には、ex-FEELのGt.TAIZOさん、ex-Vogus ImageのBa.一迦さん、ex-Romance for~のDr.貴也さんという異色なメンバーが集まりました。

ロカビリー調のパンクチューン。
正統派すぎて呆気にとられてしまうのだが、シンプルかつノリが良いという、確かにセッションバンドが好みそうな音楽性ですな。
セッションバンド=イロモノというわけではないのだよ、とカシスが参加したことでバランスが安定した部分はありそうです。
これが正式バンドになって、アレンジにそれぞれの個性が混ざりだしたら化けていたのかも。

また、バンド名は表記されていませんが、シークレットバンドが参加しています。
エフェクト処理されたアーティスト写真と、収録された楽曲から判断するに、ZXSですね。
セッション的に参加メンバーが変わっていたりするのかもしれませんが、「因果応報」を収録。
ダークでカオティックなマジ曲ですので、ネタ色が強かったカフカとの対比を楽しめそう。

全体を通してクオリティがあまり高くないのと、楽曲の前後に無駄な間があったり演出が微妙なのとで、評価は伸びなかった印象。
Vol.2が制作されたかどうかは定かではありませんが、リリースされたとしてもリピーターはさほど付かなかっただろうな、というのが本音です。
この作品が当たれば、他にも埋もれてしまった楽曲たちを救済するツールとなっていたのかもしれないと思うと、少しもったいない気はしてしまう。
せめてゲノやZXSが未発表新曲での参加だったら、まだニーズも増えていたのだろうけれど。