Flower’s for・・・ / orivia | 安眠妨害水族館

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Flower’s for・・・/orivia

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1. Flower’s for...
2. 雪の翳り
3. 冷たいアスファルト

2000年にリリースされた、oriviaの1stシングル。
後にk@mikazeを結成するVo.KIZUKIさんや、RIBBONを経てLAREINEに加入するDr.KAZUMIさんが在籍していました。

高田馬場AREAの最多動員記録を引っ提げて、鳴り物入りでドロップされたのが本作。
口コミで注目を集め、満を持しての代表曲のシングル化だったのですよね。
これが出た頃は、もっと華々しくキャリアを積み重ねていくバンドに育つかと思ったのですが、同年の1stフルアルバムの発表をピークに、Gt.HARUKIさんの脱退の影響もあってか、尻すぼみでの解散となってしまいました。

表題曲である「Flower’s for...」は、極上のポップさを持ったアッパーチューン。
幻想的な白系ギターが鳴り響くと、ひたすらキャッチーな歌メロが添えられていきます。
特にサビにはインパクトがあるので、代表曲になったのも頷ける。
配布CT収録曲の再録となりますが、フルアルバム「月蝕の種」でもアレンジが変えられていますので、それぞれ聴き比べることができれば、なお楽しみは増えるでしょう。
アルバムバージョンのほうがラストシーンのギターリフなど、明らかに手数が増えているので、Gt.京司さんのテクニカルな演奏を聴きたいのであれば、そちらを優先でお聴きくださいませ。

カップリングは「雪の翳り」は、ダークなフレーズと、ポップなフレーズが曲中で交差するナンバー。
KIZUKIさんの線の細いボーカルの影響もあって、前半は不気味さのあるダークテイストなのですが、サビに突入すると、やはりとっつきやすさが出てくるのである。
王道コード進行に、王道メロディ。
そうだ、この二面性も、彼らの魅力だったな。
テンポが速いわりには、6分40秒ほどの長尺。
ラストの展開は次々に視界が広がっていくようなイメージが浮かんできます。

こちらもドラマティックな構成となっているのは、「冷たいアスファルト」。
序盤はじっとりとアカペラ風に始まるのだが、徐々に攻撃性が高められ、荒々しく一気に発散。
「Flower’s for...」が白、「雪の翳り」がどちらの要素も持つグレーゾーンの楽曲であるなら、こちらは"黒"ということになるのだろう。
緩急をつけて、ハードに激しく。
キャッチー性よりも、バンドとしての衝動性をぶつけることに特化しているようで、こういう割り切りもできるのかと驚かされますな。

掘り返せば色々と発見はあるのですが、さらっと聴いただけでは、「Flower’s for...」が際立ちすぎて、カップリングの2曲が少し埋もれてしまっている印象。
その「Flower’s for...」も、後に強化版が発表されてしまうのであれば、本作がシーンの中で忘れ去られてしまっても仕方ないことなのかもしれません。
それでも、当時のバンドとしては平均点を上回っていますし、ツインギターを弾き倒すリフの応酬や、ライト層にも響くメロディセンスなどは、再評価されてもおかしくないはず。
まずはフルアルバムでoriviaの良さを知ってもらったうえ、好みにハマってくるようであれば、本作も耳に入れてもらいたいものです。

<過去のoriviaに関するレビュー>
月蝕の種