感染るんです。 / ぞんび | 安眠妨害水族館

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感染るんです。/ぞんび


1.細菌マン
2.ハッピーハッピーグロテスク
3.腐り姫
4.マダム・フローレンスの人体調理講座
5.21世紀の精神異常者

ぞんびの1stミニアルバム。
5月にリリースされた流通盤が即日完売となり、2nd Press盤として会場限定で復刻されました。

お洒落系が全盛期だった時代、そのフォーマットを踏襲しながらも、独特の世界観を展開していたSCISSORなどが、"世界観のあるお洒落系"として評価されていました。
時代の流れは押さえつつも、ヴィジュアル系だからこそのアプローチも忘れないという、称賛に価する言葉でしょう。
それを踏まえると、このぞんび、"世界観のあるキラキラ系"と言えるのではなかろうか。

垢抜けたルックスに、同期を多用したゴージャスなサウンド。
ノリの良い楽曲に、キャッチーなフレーズ。
そのフォーマットは、10年代になってシーンを席巻したキラキラ系を踏襲していると言って差し支えないだろう。

一方で、グロテスクなテーマを、パーティーチューン的な雰囲気で歌い上げてしまうスタイルは、統一されたコンセプトによるもの。
従来のバンドにはなかった、世界観のある現代V-ROCKを実現しているのです。
キラキラ系も淘汰される時期に入り、ダークなヴィジュアル系の再興がスタートしたシーンというご時世も勘案すれば、"キラキラ系のゾンビ"という見え方もできて、色々な意味でハマっているのも面白い。

5曲中、デモシングルから3曲。
新曲は2曲のみという構成に、やや食い足りなさは否めないものの、楽曲は良質。
デジタルサウンドが満載のアッパーチューン「細菌マン」は、ポップで華やかなサビが耳に残る。
メルヘンダークな「ハッピーハッピーグロテスク」、歌謡曲風のメロディが癖になる「腐り姫」と、シングル曲で流れを作ると、個人的にお気に入りなのは「マダム・フローレンスの人体調理講座」。
グロテスクな歌詞を、ゴシックでメルヘンなアレンジと、キャッチーなサビで、彼ららしくコーティング。
最後は、デジタルロックな「21世紀の精神異常者」で締めくくります。

流通したCDの2nd Pressを、会場限定で販売というスキームは珍しい気がしますね。
買い逃した!確実に欲しい!というファンを、ライブに呼び込む仕組みとして機能するかどうか。
その辺りも含めて、今後の飛躍が楽しみなバンドです。

<過去のぞんびに関するレビュー>
ハッピーハッピーグロテスク