Eclipse / アルルカン | 安眠妨害水族館

安眠妨害水族館

オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

Eclipse (TYPE B)/アルルカン
¥1,575
Amazon.co.jp

1. Eclipse
2. 像
3. ナミダノアト

次世代名古屋系を自称するアルルカンの1stシングル。
デモシングルの初回盤をあっという間に完売させるなど、2014年での飛躍を期待される彼らが、遂に正式音源をリリースしました。

サウンドアプローチとしては、現代的なキラキラサウンドに、硬派なラウド色を上乗せして、メリハリをつけていくタイプ。
その硬派さの織り交ぜかたが上手く、チャラチャラした雰囲気を与えずに、キラキラをコテコテに昇華しています。
この辺りは、確かに次世代感があるでしょうか。
キラキラ系に興味を持つファン層の限界、コテコテ系を懐古するファン層の限界、それぞれの境界線を広げる可能性を秘めている、というのは、少し言いすぎかもしれませんが。

表題曲である「Eclipse」は、そんな彼らを象徴する、デジタルとラウドミュージックの融合。
重低音とデスヴォイスがドコドコと響いたかと思うと、近未来的な同期がスペーシーな世界観を作り、メロディアスなパートへと繋げることを自然にしていますな。
Vo.暁さんの、どこか爽やかさのある瑞々しい声は、どちらかと言えば、キラキラ寄りの属性なのかとは思いますが、ガツガツと攻める部分についても、案外ハマっている。
華があるというか、しっかりと彩りを添えていて、シングルらしい聴きやすさを演出しているのではないかと。

カップリングの「像」は、ラップ調の導入で、ノリが良い楽曲。
一見して、軽そうな印象を与えるのだけれど、実は、ずっしりとした低音が、呪術めいたフレーズを奏でていたりするから、面白い。
彼らなりのミクスチャーということになるのかな。

3曲目に収録された「ナミダノアト」は、歌モノの位置づけでしょうか。
相応に疾走感もあり、バラードというわけではないのですが、サビのメロディなど、聴かせどころをはっきりさせ、耳に残りやすいように工夫しています。
持っていきかたとして、ラウドなアプローチが控え目になっているので、それが、ベタさ、無難さとなってしまっているのは残念。
1、2曲目と比較すれば、インパクトには欠けますけれど、新人バンドの単体の楽曲として触れれば、クオリティの高さには頷けますよね。

兎にも角にも、音楽の新ジャンルとは、言ったもの勝ちなのだなぁ。
もともとは、名古屋におけるヴィジュアル系バンドの主流の音楽性を名古屋系と言っていた。
それが、時代を経るにつれて、ドロドロしたダークサウンドにハードな演奏、あるいは、本格派の硬派ラウドといった、特定の音楽性を示すようになってきました。

その中で、このアルルカンは、名古屋で活動しているわけでもなければ、所謂、名古屋系を示す音楽性からのリスペクトを感じるサウンドではない。
確かに、古き良きを踏襲している部分はあるのだけれど、それだけで知名度を上げることができるほど、甘いシーンというわけでもない。
自称しなければ、ここまで"次世代名古屋系"というキャッチコピーは定着しなかっただろうことを勘案すれば、ある種、見せ方や売り方が上手かったということなのでしょう。

勢いは、どこまで続くのか。
本作は、彼らのやりたいことをイメージしやすい作品に仕上がりました。
そうなると、次は、これを上回るものを聴きたくなるのが、ファンというもの。
一発ガツンと、シーンに衝撃を与えてくれることを期待しています。

<過去のアルルカンに関するレビュー>
似非林檎-eseringo-