再録音0.06 / sho-ka | 安眠妨害水族館

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再録音0.06/sho-ka
 

1.セミノハツキ
2.sea

ex-Vogus Imageのボーカリスト、sho-kaさんのソロワークス。
ドラムには、ex-るう゛ぃえの大熊"ケイト"邦夫さんが参加しています。
2010年の作品。

1stミニアルバム「portable rain」から、「セミノハツキ」と、Vogus Image時代の楽曲「sea」を、タイトルどおり再録。
アコースティックな雰囲気で、ボーカルを前面に押し出した構成ですね。
ボーカリストのソロ作品としては、良い味を出していると思います。

とにかく、穏やかで、あたたかい。
やわらかい、という表現も似合うかもしれません。
ミディアム~スローなリズムに、優しく丁寧に歌うsho-kaさんの声が印象的に響く。
歌い方に癖はあるけれど、深みが感じられるのですよ。
なんとも言えない、喪失感があるというか、物悲しさが駆り立てられるというか。

「セミノハツキ」は、オリジナルを聴いていないので変化はわかりませんが、代表曲というだけの名曲感があるな。
叙情的に歌い上げるサビの力強さは鳥肌モノ。
そう、演奏は静かで、繊細なのに、母性のような強さを感じるんだ。
たった1曲で、この空気を作れるのは凄いです。
なんだかんだで、キャリアを実感。
じわじわと体に染み入ってくるようで、理由は無いけど泣きたくなる。

「sea」についても、アコースティックな雰囲気は継続して。
これも、涙腺を刺激するなぁ。
バンドで演奏されたオリジナルバージョンとは、まったく別の楽曲のよう。
Vogus Image後期も、こんな世界観を持ち始めていたので想像できるとは思うのだけれど、サウンドの部分を更にシンプルにしたことで、世界観がより明確になりました。
個人的には、こちらのアレンジのほうが好きですね。沁みる。

音としては、まったくヴィジュアル系ではないのだけれど、想像力にはたらきかけて、大きな力を持つという意味では、素晴らしい世界観がある作品。
それぞれ、雨音、波音のSEからスタートするのも、楽曲に感情移入しやすい工夫となっています。

もったいないのが、制作量が限定的すぎて、再録盤なのにも関わらず、たくさんの人が耳にしやすい環境ではないこと。
sho-kaさんの活動が、そもそも表に出ていかないから、発売していたことすら知らなかった人も多かった気がする。
シーンの中で評価されにくい音楽かもしれないのだけれど、この楽曲たちを埋もれさせてはいけませんよ。
このブログに何かを変える力はないとわかってはいても、主張だけはしておきたいのです。