YELLOW FRIED CHICKENz I / YELLOW FRIED CHICKENz | 安眠妨害水族館

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オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

YELLOW FRIED CHICKENz I/YELLOW FRIED CHICKENz
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1. CIRCLE [.com] 
2. 最終通告COUNTDOWN [.jp] 
3. 恋愛DRIVER ~Fooさんの歌~ [.jp] 
4. LAST KISS [.jp] 
5. UNTIL THE LAST DAY [.eu] (BONUS TRACK) 
6. YOU ARE THE REASON [.eu] 
7. MIND FOREST [.com] 
8. 妄想GIRL [.jp]
9. THE END OF THE DAY [.jp] 
10. また、ここで逢いましょッ [.jp] 
11. ALL MY LOVE [.jp] 
12. NOT ALONE 「キミは一人じゃない」 [.eu]

日本に漢(男らしい男)を増やしたい! 草食系男子を肉食系(というか恐竜系)に変える!!
そんなコンセプトを引っ提げ、GACKTさんを筆頭として結成された、YFCの1stオリジナルアルバム。

もともとは、GACKTさんのソロ活動における企画の一環だったようですが、2011年6月に現体制となってからは、独立したバンドとして精力的な活動を展開。
ツインボーカルに、3本のギターが重なる、異色な布陣が特徴です。
重厚かつ濃密な音の絡みと、ときに掛け合いを、ときにハーモニーを奏でる絶妙なボーカルラインには、一聴の価値あり。

リズム隊についても、ex-RIZEのU:ZOさん、LUNA SEAのSHINYAと、豪華なメンバーが参加しており、コンセプトに恥じない、硬派でタイトなグルーヴを生み出しています。
全体的に、ハードで、スピード感を活かした楽曲が揃っている。
これに、必要に応じて、オーケストラ風のアレンジや、雅楽的な要素も取り込んだりして、ボーダーレスにバリエーションを広げているあたりは、常人には真似できません。

雰囲気があるミディアムナンバー、「MIND FOREST [.com]」や、シングルにもなった壮大なバラード、「 ALL MY LOVE [.jp]」など、メリハリはあるものの、際立っているのは、その勢い。
剃刀のような鋭さではなく、馬力でなぎ倒していく、斬馬刀のような破壊力で、ガツガツと攻め立てる。
要するに、軽快に疾走していくイメージだけでなく、ずっしりと重いサウンドもアピールできるのです。
GACKTさんらしい、スマートな部分も、肉体派な部分も持ち合わせた、パーフェクトな男性像が表現されている、と言ったところでしょうか。

ほどよく純真で、ほどよくチャーミング、そして、ほどよくセクシーさがあるのも、GACKTさんにとっての「漢」なのでしょう。
コミカルな要素を持つ曲や、エロティックなナンバーも混在。
様々な一面を見せ、自己満足になるべからず。
そして、どんなときでも、キャッチーさを忘れない紳士たれ。
息の吐く暇もなく、次々とまくしたてる楽曲群は、総じて、そう語りかけているよう。

音楽的には、ツインボーカルを最大限に活かすべく、最近のロキノン系では定番になりつつあるスタイリッシュなミクスチャーを採用。
GACKTさんの声との相性は、まだ市民権を得る程馴染んでいない部分はありますが、外国人ボーカリスト、JONさんと併用することで、ギャップをマイルドにしている。
デビュー曲、「THE END OF THE DAY [.jp]」をはじめ、練り込まれたコンビネーションは、単なる歌い分けの域を超えて、パフォーマンスにまで浸透しており、完全なるエンターテインメントに昇華しています。
いちいち、アプローチが面白い。

王道の風格すら漂う、「LAST KISS [.jp]」、ラフでストレートな、パンクナンバー、「また、ここで逢いましょッ [.jp]」などが、個人的にはお気に入りですね。
もっと、おふざけ路線も多いのかと思ったら、このメンツで、がっつり本気。
そろそろ守りに入っても良いのでは?というタイミングで、新たな仕掛けをしてくれるGACKTさんの肉食系男子っぷりに、すっかり魅せられてしまった。
カリスマが衰えないのも、納得できるというものです。