- 闘争本能~Battle Soul~ Soul Type/華族
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1.浮雲
2.ひとしずく、陽トシズク。
3.レイニーガール
THE KIDDIEのメンバーが在籍していた華族。
ラストシングルとなってしまった作品です。
Battle TypeはDVD付、Soul Typeはボーナストラック付。
2006年の発売ですが、この2種売り文化がはじまって、もう少なくとも5年経つということか。
本作は、「レイニーガール」が収録されたSoul Type。
メインコンポーザーだったあずささんが脱退して、それまでのレトロ路線から、音楽性の変更を余儀なくされた彼ら。
個人的には、初期の歌謡曲をスタイリッシュにしたような楽曲が好きだったのですが、本作については、解散を前に、意地を見せたと思わされる一枚でした。
Vo.揺紗さんが作詞・作曲を手掛けた「浮雲」は、サビの輝きだけにすべてを注ぎ込んだような緩急付けたナンバー。
ボーカリストが手掛けただけあって、歌っていて気持ちよさそう。
多少癖があるものの、伸びやかで爽やかな歌声は、とてもマッチしています。
この曲の肝は、淡々としたAメロから、一気にキーが上がって演奏も盛り上がるサビ、その昂揚感。
そのあと、ミディアムテンポの穏やかな歌メロも用意されていますが、こうやって、サビの前後を緩やかに彩ることで、サビでの疾走感を引き立てていますね。
シンプルだけど、無駄がなく、これぞキラーチューン。
カップリングの、「ひとしずく、陽トシズク。」は、スタイリッシュで、ノリの良い楽曲。
最近のバンドであれば、この手の曲があっても珍しくはないのですが、当時のシーンを考えれば、攻めの一手でした。
あまり、このバンドの王道といった感じではないのですが、THE KIDDIEへの布石と考えれば、ニヤリとしてしまう部分もありますね。
まだ、キラキラ中心のアレンジではなく、骨太な演奏であるあたり、違いを楽しむというのもひとつか。
ボーナストラックの「レイニーガール」は、アダルティーでお洒落。
演奏がいちいち大人びていて、サビでメロディアスになる部分と、それ以外のテクニカルな部分とのメリハリが面白いです。
バロックの系譜、お洒落系の名残でしょうか、途中、ダミ声で歌う場面がありますけれど、この辺はご愛嬌。
全体的には、本当に質の高いポップスなので、そこだけがどうしても嫌だという人はいるでしょうが、それほど気にはならないかな。
とにかく、「浮雲」の完成度の高さ。
この一言に尽きる作品である。
カップリングも、しっかりニーズを押さえているし、ラストということを差っ引いても、バランスが良く聴きやすい。
哀愁的なメロディは薄れてしまったものの、ポップロックバンドとして割り切って聴けば、自信を持っておススメできるシングルです。
<過去の華族に関するレビュー>