- 冷たいアトリエの魔術師/Eliphas Levi
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1. 『砂』- 2. 華麗なるDの惨劇
- 3. 眠りをくれる木箱
- 4. 歪められた仮面の罠
- 5. 残された廃人と甦る残骸達の情景
エリファスレヴィの2ndミニアルバム、「冷たいアトリエの魔術師」。
90年代のコテコテバンドは、バンド名が読みにくいったらありゃしない!
クラシカルな楽曲に、耽美で激しい演奏を重ねるという手法を得意としていた彼ら。
MALICE MIZERなどの後継者的な見方もあったようですが、そこはキーパーティ所属バンド。
ツタツタドラムに発狂シャウトなんていうお約束もしっかりこなしています。
クラシカルな要素も取り入れた、コテコテ・ダークバンドという表現のほうがしっくりくるのかも。
Vo.Keiさんは、メロディアスなパートにやや安定感に欠ける部分はあるものの、狂気の世界を表現しようとする徹底っぷりは目を見張るものがありました。
SEで幕を開け、彼らの音楽性を象徴する「華麗なるDの惨劇」、「眠りをくれる木箱」という2曲のクラシカル・ダークな楽曲で畳みかける。
相変わらずの激しさは維持しながら、それまでの作品に比べて、メロディを重視するようになった印象もありますね。
ボーカルの弱さが目立つ点で、一長一短な部分なのかもしれませんが、とっつきやすく、メリハリのある構成にするためのファクターとして効いている。
盛り上げどころに、練り込んだメロディを持ってきているのが、よくわかります。
特筆すべきは、「歪められた仮面の罠」でしょうか。
これまでのクラシカルで耽美なバンドから、ツタツタ発狂系としての要素だけを強めに抽出したような暴力的なナンバー。
喘いでいるようなカナキリ声は、気持ち悪さを演出。
とにかくスピード感のある、ズタズタな激しさで、今までありそうでなかった方向性に振り切れています。
盛り上げどころで高ぶってしまったのか、ドラムが走りすぎるところがあるのは残念ですが、ある種の完成形がここにありました。
もったいぶった語りにしても、洋館にでも閉じ込められたかのような重々しい雰囲気を創出する効果音にしても、一般人が聴いたら引いてしまうような、いかにもヴィジュアル系という演出。
ノリ重視のポップロック系のバンドを中心に聴いている人にとっては、苦笑してしまう部分はあるのかもしれませんが、こういうV系中のV系的な手法は、他の音楽シーンにはない独自性の高いもの。
この手の過剰演出なサウンドこそ、90年代コテコテ系の醍醐味だったりするのです。