THEATER-vister- / vistlip | 安眠妨害水族館

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オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

THEATER-vister-(CD+DVD)/vistlip
¥3,780
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1. scene:RAM

2. THEATER OF ENVY

3. Dead Cherry

4. 星屑、ボクと君へ。

5. OBLATE SCREEM

6. alo[n]e

7. LION HEART

8. drop note

.9. FIVE BARKIN ANIMALS

10. BEAUTIFUL CHAINSAW

11. Sara

12. 音のカケラ

13. -OZONE-

14. scene:KISS


ネオ・ヴィジュアル系の申し子的なバンド、vistlipの1stフルアルバム。

vister盤と、lipper盤の2種類同時に発売されました。


THE KIDDIE、SuG、ViViDと、スタイリッシュなヴィジュアルに、ラウド、ミクスチャーなどを取り入れつつ、同期をキラキラさせた音楽性を持ち味としたバンドが立て続けにメジャーに進出していますが、その流れに負けず劣らずの位置につけている新進気鋭のバンドが、このvistlip。

痛々しい交通事故により、活動休止を余儀なくされてしまったのは不運としか言いようがありませんが、既にアニメのタイアップなんかも付いていたりと、まさにネクストブレイクの一番手といったところでしょうか。


そういう意味では、本作はイメージ通りの作品。

基本的にはメジャー感のあるメロディアスナンバーが中心で、キラキラしたアレンジが、耳触り良く吹き抜けていくような清々しさがあります。

14曲というボリューム満点な構成の中で、アクセント的にラウド調のハードな楽曲や、淡々とした雰囲気モノを差しこんできたり、インストで導入と締めをソフトに仕上げることも、最近のバンドのお手本となる作りこみ方ですね。


歌、演奏、アレンジ、どれをとってもクオリティが高く、14曲をあまりダレずに最後まで聴くことができるのは、さすが、センスを感じます。

この手の音楽は、正直、無難にまとめれば大きく外れることがないジャンルですが、一方で個性を出すのが難しくなってきている部分がある。

その中で、発表済みのシングル曲を満遍なく配置しているので、全体的にキャッチーでインパクトがあったと強く思わせる作りになっていますね。

そして、歌モノとしてはラストに収録されている「-OZONE-」のキラーチューンっぷり。

タイアップによるヒットも記憶に新しいですが、爽やかで疾走感があり、セールスに恥じない仕上がり。

結局、この曲を好きになれるか、ピンとこないかで、このアルバムの評価は変わってくるのでしょう。


現代における王道バンド、とでも言いますか。

90年代のヴィジュアル系を通ってきた人のイメージする王道像からは違っていますが、10代のバンギャルさんにとっては、こういうバンドこそヴィジュアル系なのでしょう。

なんとなく、kannivalismの怜さんに、歌い癖や、メロディの乗せ方が似ている気がしますが、そこはご愛嬌。


今後、注目すべきなのは、個性をどうやって出していくか、ということ。

本作は、シングル曲に頼って、インパクトを出している印象がありましたが、本当はプラスアルファで面白さがほしいところ。

ただ王道なだけでは、飽きられてしまう懸念もある。

無難な曲は作るけど、ハマるには至らないという器用貧乏タイプのバンドになってしまうと、抜け出すのが難しいですからね。


特に、冒頭に挙げた3バンドなどと限られたリスナーの取り合いをやっているのでは先がない。

このジャンルの課題としては、ここ1年の間で、武道館規模でライブができるバンドが育つかどうか、だと個人的には思っています。

大物不在で、中堅バンドがゴロゴロしている今の状態は、あまり健全とは言えないかと。

このままでは、キッズに影響を与えるほどカリスマ性のあるボーカリストがいないのでフォロワーが出現せず、一代だけで終わってしまうリスクあり。

今のところ、このジャンルにおいて後進に影響を与えられそうなのは、alice nine.くらいですかね。


ところで、このCDの仕様・・・どちらを買うべきか、かなり迷いました。

vister盤は、14曲+DVD付き、lipper盤は、14曲入りCDのみ。

普通に、DVDの有無だけで判断すれば良いじゃないか、とも思うのですが、なんと、収録曲のうち、数曲が差し替えられているという。

差し替えられた曲は、どちらも未発表曲であったため、どちらか片方を買っただけでは、全曲を網羅できないというフラストレーション。

こういう売り方は、あまり定着してほしくないです。