Mizerable / Gackt | 安眠妨害水族館

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Mizerable/Gackt
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1. Mizerable
2. Story
3. Leeca
4. Lapis ~Prologue~

MALICE MIZERからの脱退劇の直後にリリースされた、Gacktさんの初ソロ作品。
2/3アルバムと銘打って発売されたため、「4曲で2/3!?」、「フルアルバムでも6曲!?」と要らぬ心配をファンに与えたことでも話題になりました。
一応、ミニアルバムという扱いで良いのでしょうか。

タイトル曲、「Mizerable」は、後にシングルカットされるメロディアスナンバー。
この曲のために、Gacktさんはソロ活動を始めたのたと思えば、突然の脱退劇にも納得せざるを得ないほど、完成度が高くて驚かされる。
バイオリンの音色が主旋律として絡まってくるクラシカルな構成は、MALICE MIZERの延長線上として聴いても違和感はありません。
やはり、耽美で、流れるようなメロディは、煌びやかなGacktさんの声に映えますね。

そして、世界観を現代風に再構築して、地に足をつけたようなアレンジは、その後の自由な音楽性を受け入れてもらう第一歩。
このアルバムをクッションとしたことで、その後のR&Rなナンバーも、抵抗なく聴けたような気がします。
きっと、本人の中での意味づけも色々あるのだろうな、と推測できますが、理屈なしに聴いても聴き惚れる、レベルの高い1曲。

「Story」は、この段階では、ピアノやストリングスをメインとしたインスト。
後に、「再会~Story~」として、歌入りバージョンがシングル発売されました。
アレンジとしては、こちらのほうがMALICE MIZER時代のイメージに近く、好みですね。
この頃から、歌メロもできていたようなので、インストに拘らなくても・・・という気持ちもありますが、これはこれでアリ。

3曲目に収録された「Leeca」は、アコギがアクセントとして良い味出しているアコースティックバラード。
ファルセットが印象的に使われていて、歌声に浸ることができる構成かと。
ラストの「Lapis ~Prologue~」も、ピアノ演奏がメインで、アコースティックな雰囲気のあるバラードですが、光と影のようなコントラストが面白く、タイプが違う曲に聴こえます。
こちらは、プロローグらしく、長いアウトロがアルバムの余韻を残す。
しっとりとした締めくくり。

1曲目が断トツでシングル感があるのですが、他の曲は、ゆったり、世界観に引き込むようなものが中心。
演奏は、全体的にピアノ、バイオリンなどの楽器が多用されていて、ソロだからこそできる音の使い方だな、とは思います。
クラシカルな構成なので、マリスから流れてきたリスナーも十分満足できるし、他のGackt作品から異常に浮いているということもない、絶妙にバランスがとれた作品ではないかと。

組曲的な印象も受けましたので、実際の曲数以上の充実感あり
この世界観でフルアルバムが聴きたかったな、というのが正直なところかな。