Leer / Vizell | 安眠妨害水族館

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オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

Leer/Vizell
安眠妨害水族館~別館~-vizell

1.aspire
2.
3.赤裸症
4.doubt dance
5.cowardice ~filmに映るアナタは…~

kein、Lamielが双璧として君臨し、Phobiaが追いかけていた90年代後半~00年代初頭の名古屋系ヴィジュアルシーン。

その中心にあったレーベル、Donuts Record Westに所属していたVizellが、2000年にリリースしたミニアルバム。


やや地味な存在ではあるも、改めて聴き返すと、なんだかんだで音はしっかり名古屋系をやっていたんだなと再認識。

雰囲気重視の演奏に、独特で癖のあるメロディを乗せていて、なかなかに中毒性が高い音楽性。

Vo.TATSUYAさんは浮遊感のあるハイトーンな声質で、安定感には欠けるものの、曲には合っていたような気がします。

一辺倒な歌い方になってしまっているのはもったいないのですが、ファルセットを多用するので印象的になるというか、耳に残るのは間違いない。

初期の作品は、1,000枚単位のCDを完売させていただけあって、センスは相応に感じられました。


本作は、彼らにとって最初のミニアルバム。
ベースのフレーズが特徴的で聴きどころも多く、楽曲は良し。
「aspire」、「赤裸症」、「cowardice ~filmに映るアナタは…~」と、シングルでもアルバムでも存在感を発揮しそうな楽曲が並んでいます。
ほどよくメロディアスで、ほどよくダーク。
ダーク系のコテコテバンドと、名古屋系バンドの中間をとったような、おいしいとこどりの要素は持っていたのかと。

さて、彼らの個性でもあり、聴く人を選ぶポイントでもあったのが歌詞。

中学生が覚えたてのエロ用語を嬉々として使っているような、黒歴史的な痛々しさがあって、これ、大人になった今頃、絶対に後悔しているよねっていう。

耽美的なオブラートに包んだエロスはV系のお約束でもありますが、ただ、それっぽく単語を並べたという感じなのが、また何とも言えない。

他のバンドにはないものを、ということではあるのだけれど、もう一歩、深みが欲しかったところです。


その後、Gt.戒音さんはSIX-Rとして活動。
Ba.光輝さんも、lynch.のサポートベースを担当していましたが、メンバーたちの現在における動向はわからず。
もう一皮剥ければ、面白い存在になれていたと思うのですが。