#07 sound track?の実態とは!!part6.ジョニーのライナーノーツ編 | 齊藤ジョニーOfficial Blog
~◯年◯月◯日 編集者Sの手記~

_書き出しからなめている。

『始めに言っておこう。長くなる。どうやったって気取った文章になってしまうのが僕の性分だ。気に食わなければ適当に読み飛ばしてもらってかまわない。しかも、ただでさえ説明しすぎるきらいのある僕である。音楽にあれこれ注釈を加えるのは基本的には野暮なこと。僕の駄文に最後まで付き合っていただかなくとも、今回のアルバムを楽しんでいただける自信はある。

(すでに苦痛を感じている方は、こちらのURLに移動していただければ、余計な手間を省けるだろう。
 【#07"sound track?"の実態とは!! Part7.】「マナミ虫のManamiMemo」http://ameblo.jp/minibibi7151//)

 今回他のメンバーとは少し特殊な立場でアルバム制作に携わった身として、このアルバムについて思うことを書き連ねていく。少しでも興味があれば、時間と気分が許す限りお付き合いいただければ幸いである。』


_斜に構えやがって...毎度のことに私は苦笑しながら、〆切ギリギリで送られて来たジョニーからの原稿に目を通していた。そろそろ外が薄暗くなってくる、昼とも夕方ともつかない、そんな時間だった。


『ご存知の通り、僕は今回のアルバムには諸事情により歌唱・実演の部分では参加していない。正直歯がゆさはあったが、結果的に良かったと思っている。演奏するプレッシャーから解放されて、「最初のリスナー」に徹することができたからだろう。ずいぶん楽しませてもらった。他のメンバーがどう思ってるかわからないけれど、少なくとも僕は、Goosehouse史上最高にクリエイティブな時間だったと思っている。自分たちの作品への少々大げさな賛辞はご容赦願いたい。なにしろ僕は「最初のリスナー」である。そしてまだ加入して間もない怖いもの知らずの「第5期メンバー」なのだから。』


_とりあえず、たいそうな傑作らしい。


『前置きはこの辺にしていおいて、アルバムの内容の話に移ろう。「架空の映画のサントラ」これが今回のアルバムのコンセプトだ。実に、青臭い。

 少々回り道になるが、コンセプトアルバムと言えば真っ先に思い浮かぶのは、The Beatlesの67年発表の”Sgt. Pepper's Lonely Heart's Club Band”というアルバム。言わずと知れた世界初のコンセプトアルバムである。このアルバムは、当時の録音技術の限界を越えた斬新なサウンドはもちろんだが、何より「架空のバンドのコンサート」というコンセプトが据えられたという点で、画期的なアルバムだった。サージェント・ペパーズの登場によって、アルバムに何らかのコンセプトやテーマ、ストーリー性を持たせるという手法が多く取り入れられるようになっただけでなく、それまで単なる「お買い得盤」でしかなかったアルバムというものを、歌詞カードや付録も含めた一つの「作品」としてとらえる、今日では当たり前の概念が一般的になったというのは、有名な話だ。』


_「有名な話だ」を、あいつは好んで使う。


『ちょっとでもその手のポップミュージックの歴史をかじっていれば、自分もそんなアルバムを作りたい、などと誰もが一度は思うもの。しかし、The Beatlesの時代から40年以上も経っているのだ。歴史的には目新しい手法ではないし、そもそも今この時代に、コンセプトだのなんだのを熱狂的に受け入れるムードがリスナーにあるとは思えない。今更堂々と「架空の~」なんてコピーを謳うことは、ある意味勇気のいることだ。気恥ずかしさすら感じる。少なくとも僕のソロでそんなことをやったら、寒いことになって終わるはずだ。そう、青臭いのだ。僕からすると。』


_すでに青臭いよ、お前が。


『しかし今回全員でこのコンセプトを考えたとき、なぜかGoosehouseにはストンとはまる気がした。この7人の声があれば、この7人のキャラがあれば、この7人のストーリーがあれば...むしろ今こんなことを真面目にやれるのは、Goosehouseだけじゃないか?それは直感だった。何も確証はなかったが、絶対面白いことになるという、直感があった。

 誤解しないで欲しいが、「GoosehouseはThe Beatlesの後継者だ」なんて恥知らずなことを言うつもりはまるでない。こんなことを思っていただけだ。40年前のリスナーたちが、どれだけワクワクしてThe Beatlesの新しいレコードをかけたことだろう。オーディオにかじり付くように音楽に耳をかたむけ、新しい世界に驚嘆し、感動したことだろう。使い捨てのように音楽が溢れているこの時代。「アルバムは1枚通して聴かなきゃいけないもの」そんな思想の廃れてしまったこの時代。音楽は本当は、こんなに面白いことが、素晴らしいことができるんだと。それをもう一度みんなで思い出そうじゃないか。Goosehouseにはそれができる力がある、と。』


_やれやれ、こっちが恥ずかしくなってくる。
 

『これは「時代への挑戦」なのだ。Goosehouseがこれまでもそうだったように。そして、今までしてきたことの焼き直しではなく、全く新しい形での。』


_時代への挑戦。


『やったことのないことを目の前に、期待と不安を抱えながらもスタートしたレコーディング。試行錯誤の連続だった。その模様は他のメンバーがこれでもかというくらいに書いてくれているので、今更その楽しげな様子を僕が言う必要もないだろう。

 本作で聴けるサウンドは、まぎれもなくGoosehouseの新境地だ。d-ize氏のトータルディレクションのもと、5人目のビートルズと呼ばれたジョージ・マーティンのように、とは到底いかないが、僕も8人目のGoosehouseとして、新しいアイディアの提供やディレクションの部分である程度貢献できたつもりである。ただしそれは、7人の素晴らしいパフォーマンスがあってこその話であるということを忘れてはならない。今回のセッションではメンバー各々が元々のポテンシャルに加え、新しい才能を開花させた。そうして生まれた名演の数々が、このアルバムをより一層盛り上げている。これまで以上に生々しく、エモーショナルだ。

 
 そんな音楽的な部分での格段の進化を差し置いて、実は僕が今回のアルバムを特に気に入っている一番の理由は、「言葉」だ。そしてここからは、聴いてもらう前に読まれるのは少々気が引ける内容ではある。』


_と言っておきながら、読んでもらいたくて仕方ないんだろ。だが安心しろ。字数オーバーだ。相変わらず間抜けだな。
 なに、これまで通り大したことは書いてない。それに、アルバムの聴き方はリスナーの自由があっていいはずだ。制作者の私情を、むやみやたらにリスナーの意識に植え付けるのは私の仕事ではない。しかしながら、完全に抹殺してしまうのは何となく「気が引ける」ので、ここに残しておくことにした。もしこの手記が読まれる機会に恵まれたときは、この先を読むかどうかは読者の皆さんにお任せしよう。その時点でアルバムをまだ聴いていないという人は、ひとしきりアルバムを聴いて落ち着いた頃、頭の片隅に残っていたならここに戻ってくるといい。その程度のほうが、本人のためにもなると、私は思っている。
 
 たいした文章でもないのに何だかんだで最後まで読まされてしまった。もう夕方だ。窓から夕日が刺している。スピーカーから流れてくるのは「永遠の八月」。最後にマイクセッティングをしにひょっこり顔を出す、あいつの間抜けな笑顔が、今回のアルバムを何よりも語っているんだろう。私にも、そんな時代があった気がする。少年に戻ろう、か。

 

 悪くない曲だ。




永遠の八月/Goosehouse (2013.7.31 アルバムリリース)




_さて、奴の尻拭いをしよう。この暑苦しい文章を世に出すには手を入れなければならない。明日には全く違う文章になっているだろう。

 あと、これもだ。面倒な仕事残しやがって。

サ「さりげなくかっこいい」(竹澤汀)
ウ「うまが合わないようで合ってる8 人」(工藤秀平)
ン「ん?ジョニー?あ、ジョニーくんはね、たくさんサポートしてくれました!」(竹渕慶)
ド「どんな夏を過ごしますか?今年の夏はGoosehouseのフルアルバムと一緒に!」(ワタナベシュウヘイ)
ト「特別な思い出を、作りませんか?」(沙夜香)
ラ「ラララの混声四部、みんなで歌えたら、素敵だよ、きっと。」(ジョニー)




【#07"sound track?"の実態とは!! Part7.】
「マナミ虫のManamiMemo」→http://ameblo.jp/minibibi7151//)


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Goosehouse公式HP
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TSUTAYA ONLINE
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~ライナーノーツ草稿つづき~

『聴いていただけばわかるだろう。楽曲たちはあくまでサントラで使われているというだけであってストーリーを直接語るものではないし、ストーリーと直接関係あるとも限らない。それぞれの歌の歌詞のテーマやモチーフは様々だ。それらは映画というコンセプトを越えて、リスナーにリアリティをもって響くに違いない。

 個人的にすべての楽曲にとても強い思い入れがある。こんなシーンで流れるなら、こんな歌だろう...そうやって、映画の中の登場人物たちを励ますため、慰めるため、場面を盛り上げるために書かれたはずの楽曲たち。不思議なことにあるときから、まるでどれも自分のことを歌っているような親近感がわいてきた。

 楽しくもあったが楽な道でもなかった今回のレコーディング。誰よりも今回のアルバムの楽曲に救われていたのは、僕自身だったのだ。

 無我夢中で色んなアイディアをアレンジに盛り込んで、面白い曲にしようと連日深夜までもがいていたそんなときに、あの歌たちにどれほど気分を盛り上げてもらったことか。他のメンバーが全員で歌を入れているのに、一人見守ることしかできなかったとき、あの歌にどれほど励まされ、あの歌にどれほど慰められたことか。シチュエーションは違えど、同じようなことを、リスナーのみなさんにも感じていただけると思う。コンセプトだけが売りじゃない。一曲一曲に普遍的なメッセージがある。

 曲そのもののパワーに加えて、このメンバーがこれを歌うからこそ響く。あのメンバーがこんなことを歌っているのが笑える。全員の声だからこそ、泣ける。そんな聴き方ができるのも、Goosehouseならではだろう。



 最後に、少し話は逸れるが、レコーディング最終日のことだ。「永遠の八月」のd-ize氏の最後のパートを録り終えたときには、もう朝になっていた。時間も時間だったので、メンバーはd-ize氏と僕だけ。スタジオの大きなスピーカーで、録ったばかりの「永遠の八月」のラフミックスを一緒に聴いた。d-ize氏はスピーカーの目の前の、エンジニア用の椅子で。僕はその後ろのディレクター席で、彼の背中を見ながら。最後の一音が鳴り止んだとき、感極まった僕は拳を高々と上にあげた。d-izeさんは....動かないまま。しばらくしてこちらに振り返ると...
 このアルバムで一番好きな曲は?そう尋ねられたとしたら、即答だ。ダントツで「永遠の八月」だと。こればかりは、仕方が無い。

 あれこれ喋りすぎるのは本当に僕の悪い癖だ。「喋りすぎる人は、相手の想像力を侮辱している」これはツイッターで見つけたアパッチ族の格言だが(ここまで書いて来たことが、語り尽くしたい内容のほんの一部であるにせよ) 不運にも最後までお付き合いいただいた皆さん、今更ながらここで見たことは忘れて、一度頭をまっさらにして、自分なりの形でかまわない、このアルバムを心行くまで楽しんでほしい。想像をめぐらせて欲しい。ワクワクして欲しい。あなたの中にも必ずある「永遠の八月」を、きっと見つけられるだろう。そして僕らの「真夏のミッション」はまだ終わらない。 


by 齊藤ジョニー/Goosehouse 』