漢方製剤の保険外しに反対する署名、期間延長 | 労働組合ってなにするところ?

労働組合ってなにするところ?

2008年3月から2011年3月まで、労働組合専従として活動しました。
現在は現場に戻って医療労働者の端くれとして働きつつ、労働組合の活動も行なっています。

あまり知られていない労働組合の真の姿(!?)を伝えていきたいと思います。

まず、直近の情報です。

「ユニオン」と「労働ニュース」アーカイブ様からの情報提供です。


明々後日!

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/139123

北九州ホームレス支援機構炊き出し&屋外相談会 12/11 福岡
18時-22時 小倉北区城内の勝山公園(中央図書館横)
福岡県弁護士会北九州部会=093(561)0360



漢方製剤(これまで「漢方薬」と書いてきましたが、正式な名称に改めます)の保険適用外しの件につきましては、「村野瀬玲奈の秘書課広報室」様のコメント欄の議論 などに参加しておりましたが、拙ブログの方では他の報告などのエントリーが詰まっていたために、まとまったエントリーを上げないままで今まできてしまいました。

署名期間も終わってしまうし、今更だろうかと思っておりましたところ、署名の取りまとめ団体の一つである日本東洋医学会のホームページに署名期間が12月12日まで延長されたというお知らせが出されていました。まだ遅くはないということなので、署名へのご協力をよろしくお願いします。日本東京医学会のホームページから電子署名ができますし、署名用紙をダウンロードしてファックスで送るという方法も可能です。


社団法人日本東洋医学会

http://www.jsom.or.jp/html/index.htm


さて、この件につきましては、漢方製剤の保険適用外しはマスコミが流した「デマ」であり、署名活動を始めた人たちや署名に協力した人たちは「マスコミに騙された被害者」であるという説があり、議論を呼んでいます。こうした議論が起こったことによって署名数が少なくなってしまったとしたら、大変残念なことだと思います。


と言いますのも、マスコミが「デマ」を流したかどうかは、署名活動とは一切関係がないことだからです。


そのことを今から明らかにしていきたいと思います。


まず、市販薬に似たようなものがある保険適用の薬剤、「市販品類似薬」を保険適用外にしようとする政策は今に始まったことではありません。

「医療費亡国論」が唱えられ始めた1980年代から、政府はあの手この手で医療費の国庫負担を減らそうとしてきました。その中に、医師養成数の抑制や診療報酬のマイナス改定もあり、現在の「医療崩壊」と言われる状況をもたらしてきたことは既に一般的な認識となっていると思います。同様に、うがい薬や湿布薬、風邪薬などの「市販品類似薬」を保険適用外にしようとする案も出されましたが、医療関係者の反対などによって阻止されてきました。(保険適用外するということは、つまりは全額患者の自己負担にするということですから、健康保険からの医療費支出が減り、ひいては医療費の国庫負担が減ることになります)

その中に漢方製剤も含まれているという認識はつい最近まで私にもなかったのですが、2009年11月27日発行の「週刊金曜日」777号の63ページに、1993年、19994年にも漢方製剤の保険適用外しに反対する署名活動が行なわれたということが書かれていました。それをお書きになった慶応義塾大学医学部漢方医学センターのセンター長、渡辺賢治氏は、日本東洋医学会の理事でもあります。

つまり、医療関係者は以前から、漢方製剤も含む「市販品類似薬」の保険適用外しを警戒しており、その動きが起こった際には素早く反対運動を行なう用意ができていたということになります。


では、今回の「事業仕分け」では、「市販品類似薬」の保険適用外しについてどのような結論が出されたのかを振り返ってみます。

「事業仕分け」の結果については、行政刷新会議のホームページで確認することができます。「市販品類似薬」の保険適用外しについては、第2ワーキンググループによる「後発医薬品のある先発品などの薬価の見直し」の中に含まれています。

結果は以下のURLで読めます。


http://www.cao.go.jp/sasshin/oshirase/h-kekka/pdf/nov11kekka/2-5.pdf


まず、評価者のコメントは、「市販品類似薬は保険対象外とすべき。単価比較をすれば、市販品の方が安くなるデータもある。材料の内外価格差も同様。」「市販品を拡大して、保険適用外にするのは賛成だが、薬局だけでなく、スーパー、コンビニ、ネットで変える(原文ママ)製品のスコープを広げて欲しい。」というものです。

そして、市販品類似薬を保険適用外にすることに賛成している仕分け人は、15名中11名です。ただし、とりまとめコメントには「市販品類似薬を保険外とする方向性については当WGの結論とするが、どの範囲を保険適用外にするかについては、今後も十分な議論が必要である。」とあります。

つまり、明らかに「事業仕分け」の結論は「市販品類似薬を保険適用外にすることに賛成」なのですが、その範囲についてはまだ決められていないということになります。


ネット上の議論では、「事業仕分け」では「市販品類似薬」と言っているのであって「漢方製剤」とは言っていないということで、漢方製剤の保険適用外しはマスコミが流した「デマ」だという説が出されたのですが、そもそも「市販品類似薬」の中に漢方製剤が含まれているのですから、そういった説は成り立ちません。

「事業仕分け」の結論については、反対の署名活動を立ち上げた方々も承知していて、下記の文書にきちんと説明されています。


日本東洋医学会「署名活動への参加御礼と更なるご署名のお願い」

http://www.jsom.or.jp/pdf/opposition/reward.pdf


つまり、署名活動は「事業仕分け」の結論を正しく理解した上で開始されたのであって、マスコミが流した「デマ」に騙されて始めた訳ではないということがわかります。


また、「事業仕分け」ではまだどの範囲を保険適用外にするかは決められていないのだから、今から慌てて署名活動をする必要はないという意見もあります。

ですが、そういった意見にも私は賛成できません。それは、政府が決定を下してしまってから反対運動を開始しても遅いからです。

たとえば、後期高齢者医療制度や障害者自立支援法を考えてみてください。これらの制度に対しても、決定される前からその問題点に気づき、反対運動をしている人たちはいました。ですが、その反対運動の広がりが足りず、制度が開始されてからその問題点を多くの人が知るところとなりました。そして政権交代が達成され、双方の制度ともが廃止されることが決まり、新制度がつくられることにはなりましたが、新制度への移行は時間が掛かるという事で、今も後期高齢者の方や障害者の方は負担を強いられています。負担軽減措置は取られるということですが、そういった措置が取られるまでは負担を強いられ続けることになっているのです。

こうしたことを繰り返すことを避けるためには、制度が決定されてしまう前に反対運動を盛り上げ、阻止することが必要なのです。

「市販品類似薬」が保険適用外とされれば、今までその薬を服用してきた人たちは全額自己負担で薬代を支払わなければならなくなります。つまり、経済状態によって薬の服用を続けられるかどうかが左右されることになります。しかも、その薬の服用についての医師の指導も受けられなくなります。それは医療機関にとってだけでなく、患者さんにとっても大きな不利益です。

以上のようなことから、私は漢方製剤の保険適用外しに反対する署名活動をすることは意義のあることだと考えます。



最後に、「事業仕分け」についての私見を述べておきます。

「事業仕分け」には、天下り先になっている余計な外郭団体を整理したり、国民に予算の決められていく過程を公開したりしたという意味では、一定評価できる部分があると思います。ですが、「事業仕分け」には「構造改革路線の延長」という側面があることも忘れてはいけません。医療に関する予算の削減は、どちらかと言うと後者の側面が強いのではないかと私は考えます。

「事業仕分け」の「構造改革路線の延長」という側面を担っているのは、民主党内の「構造改革推進派」と財務省です。一方、民主党の福祉政策を支持している国民の期待を背負っている長妻厚生労働大臣などの「国民生活密着議員」は、「事業仕分け」に抵抗して医療費の国庫負担を増やそうとしています。



次期報酬改定、「総額でプラス」強調―長妻厚労相

キャリアブレインニュース  2009年12月8日 18:23

http://www.cabrain.net/news/article/newsId/25518.html


すべて事業仕分け通りというわけにいかない―山井政務官

キャリアブレインニュース  2009年12月8日 19:18

http://www.cabrain.net/news/article/newsId/25519.html



たとえ民主党支持ではなくても、こうして頑張っている議員に対しては応援していくということも必要なのではないかと思います。


「事業仕分け」と民主党の3つの層については、下記のエントリーの中の国民医療研究所・日野秀逸先生の講演の感想に詳しく書いていますので興味のある方は参考にしてください。


日本医労連2010年春闘討論集会報告

http://ameblo.jp/sai-mido/entry-10403393984.html



以下、「ユニオン」と「労働ニュース」アーカイブ様からの情報提供です。



http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/20091206/CK2009120602000103.html

派遣村年末相談会-12/12-13 東京都府中市 
、府中市府中町一の府中グリーンプラザの講習室
おにぎりや豚汁などを提供する炊き出しも
問い合わせは松野さん=(電)090(3085)7557

http://akikoy.at.webry.info/200911/article_24.html
12/13 第4回 あおぞら無料相談会 佐賀市
◆日時 12月13日(日) 午前10時~午後3時
◆場所 佐賀市役所南公園
◆内容 労働相談、生活相談、医療・健康相談 などに、専門の弁護士やスタッフがボランティアで対応します。炊き出しも行う予定です。



反貧困ネットワーク埼玉からの情報です。


年末大相談会

12月23日(水) 10:00~19:00

大宮ソニックシティ地下1階 第2・第3展示室(案内係がいます)

法律相談・労働相談・健康相談・生活相談など



こちらもよろしくお願いします。8月31日から福岡高裁で控訴審が始まりました。


緊急報告「爪ケアを考える北九州の会」からのアピール

http://ameblo.jp/sai-mido/entry-10310539150.html