まず、今後行なわれる「派遣村」的な相談会の情報です。
東京 春の派遣村アクション
「春の面談・電話相談村」 4月8(水)~9日(木)
来場相談:9時~14時 電話相談:10時~20時
場所:日本青年館 相談電話番号:03-3403-4240
(フリーダイヤル準備中)
主催は派遣村実行委員会。
労働、生活、医療、住まいの相談。生活保護申請同行随時。
埼玉 川口版派遣村 こまりごと相談所 4月19日(日)10時~14時
川口駅西口前、川口西公園で開催。主催は川口市社会保障推進協議会など。
労働、くらし、法律、生活保護、医療、子育て、介護、納税、多重債務の相談。
フリーマーケットも開催。炊き出しも有り。
元BP@闘争中様からの情報提供で、次のような相談会もあります。
http://www.373news.com/modules/pickup/index.php?storyid=15912
鹿児島派遣村実行委員会 29日から4月4日、同市ボランティアセンターで集中相談会、炊き出し無し
さて。4月になりまして、うちの法人にも新入職員が入ってきました。新入職員の皆さんには是非一人もかけることなく、ここで経験を積んで立派な医療・介護の担い手となっていただきたいものです。
そして、4月から介護報酬の改定が実施されました。まずは最初の1ヶ月の結果がどう出るか、気がかりなところです。これまでも何度か述べてきましたように、介護報酬3%アップと言いましても一律に点数が3%上がったのではなく、細かい加算を積みあげて、しかも施設系と訪問系の引き上げを合わせると3%という改定なので、それぞれの事業所によって改定の影響は異なります。また、要介護度ごとの限度額は変わらないため、限度額を超える分のサービスを控える利用者がいらっしゃることも考えられるため、かえって減収となる事業所もあると予想されています。加えて、要介護認定の基準が変更されることにより、要介護度の認定がこれまでよりも低く認定される要介護者が増加するということも懸念されています。
厚労省、政府・与党は、この「介護報酬の3%引き上げ」は介護従事者の待遇改善のためのものだとし、当初「2万円の賃上げに相当する改定」としていました。しかし、その後の見解では自動的に介護従事者の賃金が2万円上がるという訳ではなく、実際の賃上げは各事業所の努力と労使交渉の結果に委ねるものだとし、標準的な賃金体系を示すなどの具体的な賃上げのための対策は取りませんでした。
現時点での日本医労連の春闘回答状況を見ますと、介護従事者のベースアップは介護福祉士で1,000円から10,000円、介護職で200円から6,600円と幅がありますが、いずれも2万円の賃上げという水準には及ばないというのが現状です。(手当のアップや新設、時給のアップなどの回答も見られます)
賃上げを最終的に決定するのは労使交渉であるというのは正論ですが、「介護報酬の3%引き上げ」というのが絵に描いた餅であり、介護現場の人手不足を解消し、雇用を創出し、家族の介護負担をなくし、老後の不安をなくすための対策にはなっていないということも明らかです。
このように、実質的な改善にはなっていないという批判を受けてか、厚労省は09年度補正予算に介護従事者処遇改善のための対策費を盛り込むことを検討し、政府・与党との調整を行なっているそうです。朝日新聞の記事に詳しいのでご紹介します。引用部分は青で表記します。
介護従事者の待遇改善に1兆円 厚労省、補助金を検討
asahi.com 2009年3月27日3時0分
http://www.asahi.com/politics/update/0327/TKY200903260355.html
厚生労働省は26日、介護従事者の処遇を改善するため、追加経済対策に介護事業者に対する人件費の補助を盛り込む方向で検討に入った。09年度の補正予算を念頭に、与党と調整を進めており、税負担で基金をつくり、事業者に手当を支給する案を軸とする考えだ。
介護分野での追加経済対策では、従事者の処遇改善のほか、都心部を中心に入所待機者が急増している介護施設の整備費用の助成措置も検討されている。全体としては、3年間で1兆円規模の案が出ている。
介護従事者の賃金月額は、施設介護職員の男性22万5900円、女性20万4400円と、全産業平均の男性37万2400円、女性24万1700円を大きく下回る。
給与水準を上げるため、政府は4月の介護報酬改定で3%引き上げを決定。本来なら、高齢者らが負担する保険料アップとして跳ね返るが、国主導の改定のため、08年度の補正予算で1154億円を投入。都道府県ごとの基金を設け、影響額の半分を国費で手当てした。
介護従事者は約80万人(常勤換算)。政府は当初、3%アップで、「従事者の賃金を月2万円上げられる財源を確保」と説明していた。しかし、「3%分は、事業者の赤字補填(ほてん)に充てられ、実際には賃金アップにつながらない」(与党幹部)との判断から、再度、処遇改善策を検討していた。
ただ、介護保険を運営する市町村のほとんどが、4月から3年間の保険料を決定済みで、介護報酬を引き上げるのは事実上不可能。このため、緊急対策として今回は国費から事業者に支給する方向で調整している。12年度以降は保険料に反映される見通しだ。
このほか、群馬県渋川市の老人施設の火災で、ケアが必要な人の「暮らしの場」の不足が指摘されており、介護保険施設整備の助成も盛り込まれる方向。主に、将来の整備計画の前倒しを念頭に置いている。
介護従事者の処遇改善に3年間で1兆円という予算が投入されることが実施すれば、賃上げと人材確保を実現することが可能となるでしょう。この情報は、他の新聞社ではあまり取り上げられていなかったので、どの程度実現可能性があるものか危ぶまれていたのですが、3月31日の首相会見では次のように介護問題について触れられています。
第2の成長戦略は健康長寿社会の実現です。
日本が世界最速で高齢化が進んでいますのは、ご存じの通りです。だからこそ、日本で活力ある明るい高齢化社会を実現したいものだと考えます。例えば介護の職場で希望が持てるようにしなければならないと考えます。
(読売新聞 2009年3月31日20時33分 首相会見全文より)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090331-OYT1T00910.htm?from=nwlb
ここで首相の言う「介護の現場で希望が持てるように」するということを実現する方策が補正予算で示されるのであれば、介護従事者にとっては明るい展望が見えてくるかもしれません。今回は人件費のための補助金ということですので、赤字補填に費やされるということはないと思いますが、しっかり賃上げと人材確保に使われるように労働組合が注視していることも大切です。
是非実現してもらいたいものです。