ストライキについて勉強しました2 | 労働組合ってなにするところ?

労働組合ってなにするところ?

2008年3月から2011年3月まで、労働組合専従として活動しました。
現在は現場に戻って医療労働者の端くれとして働きつつ、労働組合の活動も行なっています。

あまり知られていない労働組合の真の姿(!?)を伝えていきたいと思います。

ストライキについての第2回です。

今回は、実際にストライキを行なう際の手順について書きたいと思います。


ストライキは、労働組合が使用者(医療制度など、公的なものについての場合は政府)に対して要求を出し、その実現のための手段として行ないますので、ストライキ以前に要求の提出、団体交渉が行なわれることが一般的です。団体交渉において納得いく結果が得られなかった場合、実際にストライキを行なうことになります。団体交渉に先立って、ストライキ権を確立し(前回をご参照ください)、ストライキの期日を使用者に通知しておきます。基本的に、団体交渉の翌日にストライキを予定しておくことが多いです。

また、団体交渉を行なうだけでなく、ストライキを行なうことを労働組合の仲間や周辺地域の人たちに宣伝し、協力を呼びかけることも行います。医療機関がストライキを行なう場合は特に、患者さんに対してストライキを行なうことをお知らせし、理解と協力を得ることが重要です。更に医療機関については、前回も書きましたように都道府県知事と労働委員会に予告通知を提出しておくことも必要です。

団体交渉で合意が得られず、ストライキを決行することになった場合、単に業務に就かないというだけでなく、集会やデモを行なったり、署名活動を行なったりして、ストライキ中であることを周囲にアピールします。そのための準備をしておく必要があります。上部団体がある場合はそこから激励に来てもらったり、同じ上部団体に加盟している労働組合同士が応援を送りあったりもします。


医療機関の場合は、ストライキ中に患者さんに何かあった時に対応できるように「保安要員」を置いておくのが一般的です。基本的に、ストライキ中の患者さんへの対応は使用者側に責任があるのですが、そのために臨時の職員を雇うことは法律上できませんので、使用者側の協力要請に応じて最低限患者さんの安全を確保するために一部の労働組合員は業務に就くことになります。誰が「保安要員」として職場に残るかは、労働組合側が事前に決めて把握しておくようにしています。

法律上は、「保安要員」を配置する義務などについての定めはありません。よって、使用者側がストライキに効力を失わせるような多数の「保安要員」を要請してきて、保安体制についての労使の合意が得られない場合は、労働組合側が計画した保安体制に基づいて要員を配置してストライキを決行しても問題はありません。ただし、労使協約で具体的に保安要員についての取り決めがある場合は、それに従って配置します。


なお、ストライキに参加したことを理由に不利益対応を行なうことは法律で禁止されていますが、ストライキに参加した時間分の給与は、遅刻や私用外出をした場合と同様にカットされます。カットされた分の賃金を労働組合が補償することになりますので、参加者と参加した時間をきちんと把握しておくことが必要です。


ストライキ後は再び団体交渉を行なうことになります。

それでも納得できる結果が得られない場合は、再度ストライキを行なうこともあります。その場合は先に行なったストライキよりも時間を長くするなど、更に経営に影響を与えるような手段を取ることがあります。


ストライキについては以上です。

次は春闘をテーマにして書いてみたいと思います。




2009.2.7 誤字脱字を修正しました。