9条世界会議報告 | 労働組合ってなにするところ?

労働組合ってなにするところ?

2008年3月から2011年3月まで、労働組合専従として活動しました。
現在は現場に戻って医療労働者の端くれとして働きつつ、労働組合の活動も行なっています。

あまり知られていない労働組合の真の姿(!?)を伝えていきたいと思います。

9条世界会議

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9条世界会議、2日目のプログラムも終了し、無事に帰ってまいりました。今日は帰宅できたのは午後8時半くらいでした。


さて、ちょこちょこと実況中継してきましたが、1日目の全大会については記録DVDが出るそうですし、オフィシャルでも紹介されるでしょうから詳しいことは書きません。盛りだくさん過ぎて書ききれない、ということもありますし。

なので、2日目の分科会のことを中心に書いていきたいと思います。


まず、シンポジウム1「世界の紛争と非暴力-非暴力アプローチを世界のメインストリームに-」を聴きにいきました。日本国際ボランティアセンターの谷山博史さんがコーディネーターを務め、ボスニア紛争を経験したジャーナリストのヤスナ・バスティッチさん、アフリカの平和構築に尽力しているケニアのフローレンス・ンパエイさん、国連職員として武装解除活動を行なった経験のある東京外国語大学教授の伊勢崎賢治さん、セネガルの憲法学者エル・ハル・ムボッチさんが、非暴力による平和の構築について語ってくださいました。最も重要なのは紛争の予防であり、それには現実を理解することも含めた平和教育が必要であること、普通の人々が無関心で何もせずにいては紛争を防ぐことはできないということ、日本の役割は非軍事的スタンスに立って活動することにあるということ、9条は紛争のない地域で生きることができるというモデルであり、それを無くすことは紛争地域で生きる人々への裏切りであるということ、9条は抽象的なものではなく、実際に憲法に明記されており、世界中に広げるべきものであるということなどが、印象に残ったことでした。

その後は、全大会で歌声を聴いてすっかり魅せられてしまったナターシャ・グジーさんのミニライブを聴きに行きました。グジーさんはウクライナのご出身で民族楽器バンドゥーラの奏者でいらっしゃいます。そして、1986年のチェルノブイリ原発事故の時には原発から3.5kmの距離に住んでいらっしゃり、事故により避難した経験をお持ちなのだそうです。美しい歌声と平和への思いに感動しました。

遅い昼食の後、ライブハウスへ。ともしび合唱団平和コンサートの最後の方に間に合いました。最後の「翼をください」は会場の人達も一緒に歌いました。私も好きな歌なので思いっきり歌ってきました。

次に、「戦争経済と児童労働、アートによる解決」と題して、インドのボーン・フリー・アート・スクールの創始者であるジョン・デバラジさんとスクールスタッフの中山実生さんと三人の少年達により、インドでの児童労働の実態を明らかにしてインドの国会に訴えた活動などが報告されました。インドの子供たちの過酷な労働によって採取されたマンガンがパソコンや携帯電話、そして兵器に利用されているのだということも語られました。

続いて4時からは『本多立太郎94歳の決意表明「世界で9条の価値を語り歩く」』と題して、戦争体験についてのお話がありました。本多さんの講演は今回で1223回となったそうです。軽快な語り口で話を進めながらも、ご自身の戦争体験については誠実に語られる姿勢には心を打たれました。今後はピースボートに乗船し、ヨーロッパで9条を広める活動をする予定だそうです。ピースボート9条チームによるダンスパフォーマンスもありました。

5時からは、「イラク、アメリカ、日本」ユースディスカッション。イラクボランティアの高遠菜穂子さんがコーディネーターを務め、イラク帰還兵のエイダン・デルガドさんがアメリカ軍のイラクでの残虐行為について語り、イラクの人道支援ワーカーのカーシム・トゥルキさんが普通の市民が犠牲になっているイラクの現状について語り、雨宮処凛さんが貧困と戦争のつながりという観点からエイダンさんにイラクに行った若い兵士達がどんな人達だったのか質問し、エイダンさんは18~9歳の高校を出ていない人達が大半であり、貧困が徴兵制度になっているのだと語りました。ディスカッションの冒頭に、高遠さんが会場の人達にアメリカ軍はイラクに駐留すべきかどうか尋ね、即時撤退がほとんどながら段階的撤退を支持する人も5、6人いたのですが、ディスカッションが進んでからもう一度尋ねてみると段階的撤退を支持する人が3、4人に減っていた、ということもありました。カーシムさんがイラクの現状をブログに書いて2回アメリカ軍に逮捕されたこと、エイダンさんがイラクでの体験を語るに当たって家族からは支援されたが軍からは疎まれたこと(でも、今は反戦ムードが高まっているそうです)なども語られました。また、カーシムさんは時と場所を選んで準備を充分にすればイラクでも9条は通用する、兵士として戦っても解決にはならず、今は非暴力の手段によって活動しているとおっしゃっていました。

6時からは「イラクに咲く花」と題して、イラクへの民間支援についての報告がありました。医師や技術者の研修や医薬品提供などの医療支援を行なっているセイブ・イラクチルドレン・名古屋、ライフラインの回復や障害者援助、イラクの芸術の日本での紹介などを行なっているPEACE ON、小児ガンに対する医療支援を行なっているJIM-NET、高遠菜穂子さんの国内難民支援、カーシム・トゥルキさんのイラク再建青年グループのインフラ整備活動、ジャーナリスト志葉玲さん、インターネット署名や通訳・翻訳の活動をされているキンバリー・ヒューズさんの報告がありました。

結びに、カーシムさんから若い人達へのメッセージとして、誰もが人の役に立ちたいと考えてるだろうが、そのためには兵士になるよりも一人の人間として生きてほしい、9条を信じ、非暴力を信じてほしいと語られました。


長くなってしまいましたが、9条世界会議2日目の報告は以上です。

少しでも9条世界会議の多彩さを感じていただければ幸いです。


2008.6.1 誤字を訂正しました。