京都南座の「壽三升景清」も、中日(なかび)まで、無事に終わりました。
今月は、普段の歌舞伎本興行とは違い、昼の部 夜の部ともに同じ演目を行なっております。
ですから、回数で言えば一ヶ月分が終わった事になりますので、
何時もより倍できる分、残り半分も色々研究していきたいと思っております。
さてさて、今日は、少し、手拭いのお話しをさせていただきます。
手拭いと言っても、一般で市販されている物ではなく、役者手拭いでございます。
これは、役者が、日頃ご贔屓にして下さるお客様にお渡しする為に作っている物です。
ですから、役者一人一人のオリジナルデザインとなっております。
まず、ご紹介させていただきますのは、師 左團次の手拭いです。
これは、我が家、高島屋の紋、
ブログタイトル画像にもある、「松皮菱に鬼蔦(まつかわびし に おにづた)」の、
蔦の部分と、市川家の紋、三升(みます)を、
手拭いの上の部分へ、市松模様のように、交互に配置しております。
色は、通常の藍色よりも薄い、水色になっています。
そして、名前は、黒色で、キリッと映える様にデザインされています。
次に、男女蔵さんの手拭いをご紹介させていただきたいのですが、
あいにく手元にないので、柄のご説明だけさせていただきたいと思います。
男女蔵さんの手拭いに使われている柄は、「かまいます」という物です。
これは、江戸時代の名優、初世 市川男女蔵が考案した物で、
【鎌、ゐ、升】の絵で、「構います!」
と、言う言葉に掛かっています。なんとも洒落ていますね。
市川團十郎家の「かまわぬ」は有名ですが、こちらも何卒宜しくお願いします。
そして最後に、私 蔦之助も、名題昇進に伴い、手拭いを作らせていただきました。
私の手拭いは、先ほども紹介させていただきました、我が家の紋、
「松皮菱に鬼蔦」の、松皮菱の部分を、連続した文様にし、斜め半分だけの半染になっております。
そして、境目を、破った風にアレンジしてある所がポイントです。
名前の部分は、趣きのある、隷書体にいたしました。
このように、シンプルにする事によって、芝居の中でも、実際に使える様にデザインしました。
役者一人一人、皆、違うデザインの、役者手拭い、楽しんで頂けましたでしょうか?
以上、とりのすけ……
ではない!!
蔦之助でした!
皆様の御想像どおり、旦那は麻雀へと足取りも軽く、お出掛けになりました。