東日本大震災や熊本地震の際に見せた日本の被災者の方々の秩序ある行動が世界の人々に驚きを持って賞賛されました。それを見ていて思ったのは「日本人の美徳は、世界の人たちの美徳を目覚めさせる」ということです。
 
 
私たち日本人が当たり前だと思ってやっていること、つまり悲劇が起きた時にお互いに助け合ったり、秩序をもって並んだりすることを、世界中の人たちから賞賛されることによって、それが実は世界のスタンダードからすると「当たり前ではないすごいことだ」ということが分かってきたのです。

おそらく、それは縄文時代から続いてきた稲作文化によって、日本人の中に自然に助け合うのが当たり前の文化が定着したと思われます。
 
2005年にアメリカのルイジアナ州を中心に起きたハリケーン・カトリーナによって、1800人以上が死亡し、20万人が避難を強いられたことがあります。
 
 
この時、町には略奪や暴力が溢れ、現場は文字通り戦場と化してしまいました。これが、世界一の大国とされているアメリカの姿です。
 
 
日本の震災に際しての被災者の方々の「落ち着いた」態度を見て、世界中の人々はショックを受けました。


もしも、自分たちに同じことが起きたら、絶対に冷静ではいられないし、泣き叫んだり、人を押しのけてでも自分だけ助かろうとしたりするとみんな思ったからです。


日本では、アメリカのハリケーンの際に起きた凶悪な暴動や略奪は起きませんでした。アメリカのメディアでは、「なぜ日本では津波の後に略奪が起きなかったのか」という特集がされました。
 
 
フランスでも日本人は「なぜ冷静なのか?」とその理由を探りました。
 
 
中国でも、びっくり。
 
 
東日本大震災の時に、アメリカのニュース番組で白人男性のニュースキャスターが被災者の方々の姿を見て、涙を浮かべながらこう言ったのが耳に残っています。

 

「君たちは、僕たち(人類)のあいだで最高の人たちだ」

"You are the best among us"

 
そのキャスターは、いかにもイケメンでメインストリームの白人で、日本人を指して「AMONG US (我々、僕たちの間で)」という言葉を使って、「自分も日本人と同じ人間である、仲間である」というニュアンスの言い方をしたので、私はビックリしたのです。
 
というのは、通常、白人などが異人種について語る時は、「君たちは、○○だ」というのが普通だからです。それを敢えて、「自分も日本人と同じ人類で、そういう立派な行動ができる日本人と同じ人間であることを誇りに思う」というニュアンスがに込められていたのです。
 
日本人の行動を見て感動したキャスターは、「自分はお前とは違う人種なのだ」という枠を自然に取り払って「人類としての意識」に目覚めてしまっていたのです。
 
日本人の行動によって、世界の人たちの心の中に「自分たちも同じような美徳があるんじゃないか、あってもいいんじゃないか」と思い始めたのです。私たち日本人を見て、「人間って、こんなに大変な目にあっても、こんなに立派な行動ができるんだ」と改めて人間を見直した、ということです。