「さ・し・す・せ・そ」




次男の発音する「さしすせそ」は

息を吸ってから母音を言う。




「(息吸って)あぁ、(息吸って)いぃ、
(息吸って)うぅ、(息吸って)えぇ、
(息吸って)おぉ」





なんとも器用。



サ行だけは、息を出しながら発音が出来ない。

『七夕』の歌なんか歌わせたら、
一小節目で
過呼吸で、ばたんきゅう幽霊になりそうだ。


しかも、いつも裏声の高音。(森山直太郎もびっくり)




「ら・り・る・れ・ろ」は、
「や・い・ゆ・いぇ・よ」

「わ」は、
「あ」

「わんわん」犬は、
「あんあん

「このやろう!」力こぶ怒り怒(摩邪の真似)は、
「このやよう
どんなに酷い言葉遣いも怒る気になれない。



我が家の次男がおしゃべりをし出してから、
早いもので半年が経つ。
次男は構音障碍というものをどうやら持っているらしい。

次男は生まれながらにして、
口が曲がっている。
正確に言うと、
左の頬の筋肉が動かないから、
笑ったり、泣いたりする時に右下がりに曲がって見えるのだ。
顔面神経麻痺、もしかしたら脳障害と
生後何ヶ月もしないうちから疑われていた。

形成外科に定期的に通っていたけれど、
「自閉症」と診断が付いてからは、
脳障害とはっきり分かったので、
「様子を見ましょう」の形成外科にも自然と足が遠のいた。

「脳障害」・・・・・。
「自閉症」という症状だけでなく様々な障碍が
複雑に絡み合っているようだ。



「まだ、3才。まだまだ、これから・・・。」



そんな呪文を繰り返しながら、
自己暗示をかけてまい進するのみ・・・・。