次男の高校生活が始まって、2か月。
高校受験をして、普通高校に進学しました。
学生は少人数で、障害に理解のある先生方ばかり。
入学式のリハも用意されていて、
入学前には面談もあり、支援体制は有り難いほど手厚く、
滑り出しは順調のように感じられました。
ただ、ストレスからくるのか、
咳がずっと、4月から1か月以上も止まりません。
高校生活に慣れて、緊張が取れた頃には
治まってくれたらいいなと思っていたのですが、
そんな矢先、
一抹の不安は、やっぱり的中してしまいました。
「僕は、感情すら失ってしまいました。
物事の良し悪しの判断も分からなくなったんです。
だから、
今、僕は、必至にかつての僕に戻ろうとしているんです。
僕は、もう人間かどうかも分からないんです。ううう。」
そんな告白があったのは、この前の金曜日。
やはり、高校生活の環境の変化は予想以上に次男を苦しめているようでした。
変な癖が表出しては消え、
オカルトチックなフレーズを独り言でブツブツ話していたり、
苦悶の顔をしながら、動きを止めて、目をつむり、
あたかも何かと闘っているかのように体を震わせているときがあるのです。
私が何かを注意すれば、
今お気に入りのアンパンマンのぬいぐるみをかじって、
むしゃむしゃむしゃむしゃと食べるようなしぐさを見せます。
「もし、あなたに思春期というものが訪れていて、
お母さんに注意されて、
うるさいなぁ、分かっているよ!と感じるのなら、
それは正常です。
感情を殺さないで、言葉で気持ちを伝えてください。」
落ち着いて話をすれば、
「はい! 分かりました!」
と、まっすぐな目線で答える次男なのです。
でも、時間を置くと、
「僕は、心の中に、正義と悪が共存していて、
悪を抑え込もうと必死で耐えてるのです。」
「それも、とても正常なこと。
お母さんにも良心と悪い心が共存していますよ。」
話せば、納得する次男なのです。
何回もその繰り返しなのですが。
納得しては、忘れ。
納得しては、忘れ。
その繰り返しで、少しは脳裏に残ってくれるのかなという感じです。
まるで、認知症患者のようですが、
それは、いいのです。
何の苦にも感じません。
ただ、次男の「悪」のイメージが分からないのです。
教えてくれないから。
ちょっと前は、独り言を聞いていれば大概は想像できたことですが、
今は、口に出して説明することも「悪」だと思っている様子。
時々、オカルトチックなセリフを聞くこともあるけれど、
だいたいは、テレビの受け売り。
天テレ、シャキーン、などのEテレの番組のセリフだったりする。
可愛いものだった。
ただ、本当に、今は教えてくれないので、
体を震わせて抑え込まなくてはならないほどの、
「悪」の感情をどうやって、私は推し量ればいいのでしょう。
どんなことを考えているのかと思うと、
私の心配も増幅するばかりで。
ルールは生真面目すぎるほどに守る子です。
SNSもトラブルになるので自らやらない宣言をし、
親とのラインすら断ち切ってしまうほどです。
犯罪、宗教、ドラッグ、すべて「悪」です。
おそらく、
普通高に担任の先生だけがいる教室で授業を受けることに、
まだ慣れていないのです。
支援級の先生が、逐一指示してくれて、
指示されたことをこなしていけば良かった中学校生活は、
ルーチンが決まっていて、
学級全体を指導するサブの先生もいたので、
分からないときはすぐ助けてくれた環境に居たのですから、
やるべきことが決まっていたということが、
どれだけ自閉症の次男には心地良かったか。
ルーチンを構築できない今、
まだまだ不安の中にいるんだろうなと思います。
そして、まだ、高校生活が楽しいと感じられない。
周りの子たちは、今頃はだんだんクラスの子たちと打ち解けてきて、
やっと慣れてきた頃なんだろうなと思います。
先日の授業参観でも、
次男一人が、自閉症特有の奇異な言動が目立ち浮いていました。
「僕は、人間かどうかも分からなくなりました。」
いったい、どこから拾ってきたフレーズなのでしょう。
胸が痛いです。
次男のこの言葉を聞いて、
RADWIMPSの『棒人間』を思い出していました。
私もちょっと前に、この歌に出会い、
ひとり共感し、まるで若い頃の自分のようだと涙したものです。
「ねぇ、僕は人間じゃないんです。
本当にごめんなさい。
そっくりにできてるもんで、よく間違わ れるのです。」(歌詞)
「手にした幸せは忘れるわ、自分の事ばかり棚に上げるわ、
怒らせ、苛つかせ、悲しませ、僕はいったい誰ですか」(歌詞)
次男は今、やっと自他との違いに気付いて、
自分が何者なのか自問自答を繰り返しているようにみえます。
次男には自閉症だと随分前から教えていましたが、
障害を理由に都合よく甘えることもあるので、
あまり詳しくは説明していませんでした。
私たち親子は、
環境が変わるたび、
マイナスからのスタートです。
中学校の時もそうでした。
ただ、その時は、次男は自分に困り感を感じていなかったので、
これも成長なのだという思考に辿り着くまで、
数日かかったバカな母親です。
次男がどんな人間だろうと、
守るべき私の大事な息子です。
子育てに一段落はありません。
きっと死ぬまで子育てをしていくのでしょう。
次男に幸せを与えてあげたい。
愛で気持ちが満ちるように。
愛を感じられるような人間になるまで。
殴り書きで夜中に書いています。
素直な今の母親としての気持ちを綴っておきます。
さ、気持ちを前向きに。
こんな苦労は、苦労のうちに入らない。
世の中、一人だけじゃない。
くじけちゃダメ。
次男にも、言っている言葉。
辛い時こそ、楽しいことを考えよう!
アンパンマンも言ってるじゃないの。
くじけそうになっても、
いいことだけいいことだけ思い出せ!
しかし、なぜに、今、
次男のブームがアンパンマンなんでしょう・・・・。
うーたんよりステップアップした感はあるけれど。