第7175回「トリック劇場版4 ラストステージ その2、ストーリー、ネタバレ 堤幸彦監督」 | 新稀少堂日記

第7175回「トリック劇場版4 ラストステージ その2、ストーリー、ネタバレ 堤幸彦監督」



 第7175回は、「TRICK トリック劇場版4 ラストステージ その2、ストーリー、ネタバレ 堤幸彦監督」(2014年)です。


「プロローグⅠ フッディーニの伝承」(ナレーション)

 「20世紀の初頭、稀代の奇術師フッディーニは、次々と偽霊媒のトリックを暴いていった。だが、彼の本心は亡き母と会うことだった。死の床でフッディーニは妻に言い残した。『霊界が存在するのなら、1年後に私は霊媒師を通じて、おまえに語りかけるであろう』


 1年後、数多くの霊媒師が集められたが、亡きフッディーニが語りかけてくることはなかった」(要旨)、大きな伏線になっています。




「プロローグⅡ ツングースカ上空の爆発」

 上田次郎教授(阿部寛さん)は、多数の学生の前で、授業を行っていました。ロシア・ツングース上空での大爆発が講義内容でした。現在では、隕石説が通説となっていますが、ガス噴出説もあります。


 『 2008年7月に、ボン大学の物理学者ヴォルフガング・クントは彗星や小惑星を原因としない新説として、地表の奥深くにたまった、メタンを多く含むガス1000万トンが地上に噴出したという説を発表した。 』(写真を含めてウィキペディアから引用)


 この講義を後で見ていたのが、村上商事の加賀美慎一(東山紀之さん)でした。上田教授は、サンダル履きで気勢を上げていました。「科学をソリューションしよう!」、この講義も伏線になっています。


「第1章 超美人女優そっくりの超天才マジシャン」

 超天才マジシャンの山田奈緒子(仲間由紀恵さん)に出演料50万円のオファーがきます。箱の中からの脱出でした。しかし、事前のトリックを仕掛けないまま本番に突入します。そして、ダイナマイトに点火されます・・・・。「どっきり」でした。大恥をかきます。


 一方、村上商事の加賀美の要請により、上田は本社を訪れます。事情を説明したのは、有田事業部長(石丸謙二郎さん)でした。「マレーシア沖に位置するスンガイ共和国で、レアアースの大鉱脈を発見した。しかし、その地域には呪術師を称する女がおってな、呪殺することもあるそうだ。私も、そう言われて今日が期限の1か月目だ。信じちゃいないがね」


 そんな有田部長が、上田と加賀美の目前で亡くなったのです・・・・。場面は変わり、山田奈緒子の部屋に移ります。「ユーが日本にいられないと思って、海外旅行に誘おうと思ってやってきたんだ。ユーはもちろんパスポートはもっているな?」、こうして、山田奈緒子はじめての海外旅行が始まります。行先はもちろんスンガイ共和国です。


「第2章 日本人7人、秘境に向う」

 上田、山田、加賀美の3人は空港に向かいます。加賀美を見送ったのは、妻と幼い娘でした。娘は重病を患っていたそうです、奇妙な呪文を唱えます。「わたしを治してくれた先生が教えてくれたの」、娘はそう言います(伏線です)。




 スンガイの空港で待っていたのは、ゲイっぽい医師の谷岡(北村一輝さん)と岩熊金属鉱業の川島(中村育二さん)でした。川島は、粗暴な言動が目立つ人物でした。船に乗り換え、村上商事のムッシュム・ラー村支社に向かいます。支社長は呪術師を怖れ、同行を拒否します。


 このムッシュムラムラで、かぶり物を取らなかったために監禁されている日本人がいました。あの矢部警部補(生瀬勝久さん)でした。秋葉刑事(池田鉄洋さん)もいました。山田の機転で、矢部を逃します。ムッシュムラムラを出発したのは、上田以下7名です。一路、レアアースの埋蔵地を目指します。


「第3章 上田次郎、熱病に感染」

 川を遡行していたのですが、上田が発病したのです。背中には直径10センチ、高さ3センチほどの潰瘍ができます。大変な高熱です。医師の谷岡は、大量の抗生物質を投与しますが、効きません。この地域では、感染症のため、多数の住民が亡くなっています。岸では、村人たちが待ち受けていました。


 「おまえら一行の中に病人がいるな。ボイノズンミさまは予見しておられ、すぐに治療が必要だとおおせだ」、長(おさ)らしき人物が語りかけてきます。そして、上田をシャーマンのいる洞窟に案内します。立ち去れとの指示で全員は洞窟を出ますが、山田だけは入り口で待ちます・・・・。


 その頃、岩熊金属鉱業の川島は、村の少年を銃殺していました。翌朝、上田は快癒して洞窟を出てきます。村には、仮宿泊施設がありました。全員で食事をとります。まかないを担当したのが、加賀美でした。川島は、口から何かの破片を取り出します。口の中を切ったようです。「外の奴がやりやがったんだ」、怒りを隠しません。


「第4章 第2の犠牲者:川島の裁きは毒にて」

 長から全員が呼び出され、洞窟の中に呼び入れられます。ベールで顔を隠したボイノズンミ(水原希子さん)は、口元を開け、絞り出した毒蛇の神経毒を飲んでみせます。「この中に、昨日、少年を殺した者がいる。これから順次、水を飲みなさい。犯人はたちどころに死に至るであろう」


 山田を筆頭に回されてきた器から水を飲んでいきます。長も飲んで見せています。最後に飲んだのが川島でした。苦しみだし、息絶えます・・・・。死を確認したのは、医師の谷岡でした。しかし、谷岡はボイノズンミを射殺しようと考えていたのです。深夜、洞窟に忍び込んだ谷岡は、ボイノズンミを撃ちます・・・・。


「幕間 山田奈緒子が見る悪夢:天空の大爆発」

 山田は、この地に入ってから同じ悪夢に悩まされていました。空で大爆発が起きるのです。直径数十キロに及ぶ大爆発ではないでしょうか。かつてツングースカで起きたような大惨事が発生するのでしょうか。


 洞窟の中には、空中での大爆発を描いた壁画もありました。ボイノズンミも、「世界の終り」を予言していました。山田の悪夢と関係があるのでしょうか。


「第4章 第3の犠牲者:谷岡の裁きは・・・・」

 翌日、ふたたび上田たちは呼び出されます。ボイノズンミは水槽に布を入れ、中から取り出した布の中から左手を取り出します。その腕には、谷岡の腕時計が取り付けられていました。山田奈緒子は、ボイノズンミとふたりだけで対決します。「腕の形をしていたガラスを水槽に残したトリックだわ」、しかし、ガラスは水の中でも見えます・・・・。




 しかし、ボイノズンミは谷岡に撃たれたために瀕死の状態でした。「誰にも言ってはだめ!」、山田に口止めします。山田に事件の全体像が浮かび上がってきます。そして、上田たち全員が揃っている所で、事件の全貌を語ります・・・・。以下、結末まで書きますのでネタバレになります。


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「第5章 犯人はお前だ! そして、トリックのすべて」

 「加賀美さん、あなたがすべて企んだんですね。娘さんが唱えていた呪文は、ボイノズンミの唱えていた呪文だわ。上田さんの発病も、病原体をあなたが注射したのよ。川島さんだけが毒死したのは、御飯をよそおった時に、あなたが入れたんだわ。毒蛇の神経毒は、その傷口から入ったのよ」、毒蛇の神経毒は飲んでも分解されます、傷口さえなければ・・・・。


 水葬のガラス・トリックは、上田教授が指摘していました。「水槽に四塩化炭素を満たしていたら、ガラスと同じ屈折率でガラスは見えなくなるんだ」(ただし、四塩化炭素には、毒性があり異臭もします)




 川島は、ボイノズンミが明かしていますように、ガッツ石松虫と蝙蝠の大群に殺されました。東京で死亡した有田事業部長には心臓に持病があり、薬が手放せませんでした。ボイノズンミがその薬をすり替えていたのです、時限爆弾として働きます。


 しかし、ボイノズンミの"呪殺"は裁きだったのです。有田部長も川下も住民を虐殺しています。谷岡はボイノズンミを銃撃しただけでなく、病原体をばらまいていたのです。そのため、感染症のため多数の住民が亡くなりました。


 加賀美は自らの犯行を認めます、ボイノズンミの協力者でした。医師たちが見捨てた娘の難病をボイノズンミが治したからです。上田教授いわく、「大手製薬会社は、積極的にアマゾンの呪術師と接触している。多数の新薬が、そうして生まれている。この地でも同様だと思う」


 加賀美は、矢部警部補に逮捕されます。しかし、事件は終わっていませんでした。住民たちが、押し寄せてきたのです。ボイノズンミが亡くなりかけていたのです。そして、彼女はすべてを山田奈緒子に託します・・・・。


「最終章 呪術師の最大の役割:山田奈緒子死す」

 山田はすべてを理解しました。なぜ、上空での大爆発の悪夢を見続けているのか・・・・。地下から長い周期で間歇的に大量のガスが発生していたのです。そして、その時期は迫っていました。山田は新たなシャーマンとして死ぬことを覚悟します。


 洞窟の壁画には、大爆発だけでなく、呪術師が地下で松明をかざす光景も描かれていたのです。これこそ、呪術師最大の任務だったのです。地下に止まっている段階でガスを爆発させること・・・・。自らの命をもって、住民全てを救うことを勤めとしていたのです。


 上田教授もそのことに気づきます。「山田、戻ってこい!」、しかし、噴出を始めたガスは洞窟を崩壊させました。山田は上田に語りかけます。「一年後、私があなたに会いに行ったら、ギョーザとお寿司を死ぬほど、おごってちょうだい」


 出口をふさがれた洞窟内を、山田は下っていきます。そして、松明に火をつけ、ガスに向けてかざします・・・・。大爆発が地上を揺るがします。


「エピローグ 一年後:あの子をよろしくお願いします」

 「科学と人類」財団の大賞の栄に輝いたのは、上田次郎教授でした。「私は、偽超常現象に挑戦し続けます。この賞金は、真の超能力を発揮した方に全額差し上げます。一週間後、われこそと思われる方は、研究室に来てください」


 一週間後、上田は面接しますが偽物ばかりでした。5時前にやってきたのが、菜穂子の母親の里見(野際陽子さん)でした。「私は、超能力にチャレンジするためにやって来たのではありません。上田先生は、あの子のために、このことをなさってくれたんですね。今日はあの子が亡くなってから1年です。先生、あの子は、一度や二度死んでも性格は変わりません。よろしくお願いします」、里見は深々と頭を下げます。


 鬼束ちひろさんの「月光」が流れ始めます。エンディング・ロールの横には、ハイライト・シーンが流れます。・・・・ 日付が変る直前でした、貞子のような女が入って来たのは・・・・。「まだいいですか?」、その女(仲間由紀恵さん)は、封筒の中からコインを消すマジックを始めます。上田の脳裏に、はじめて山田奈緒子と会った時の記憶が蘇ります。


(補足) 写真は、"シネマトゥデイ"から引用しました。


(追記) 感想につきましては、"その1"に書いています。興味がありましたら、アクセスしてください。

http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-11750682740.html