アメリカの雇用統計から予想出来る景気 | 不動修太郎の「ニュース報道の裏側」

アメリカの雇用統計から予想出来る景気

 アメリカでは、労働省という当局が
毎月第一週目の金曜に前の月の雇用関連の
数値を「雇用統計」として発表します。
アメリカでは、大統領、政府が国民の雇用を
守る責任があるので、「雇用統計」の発表数字によっては、
政策が変わります。だからこそ「雇用統計」に注目が集まり、
予想された数値と発表が食い違うと
為替、株価を動かすことがあります。
予想値は、ロイターなどの外電、シティバンクの
ような大手金融機関が出しています。
 
 先週末の1月6日午前(現地時間)に発表された
2016年12月の米雇用雇用統計では、
失業率が4.7%と前月から0.1ポイント上昇しました。
 アメリカでは、景気が良くなると今まで勤めていた
会社を辞めて暫く失業保険を貰いながら、より良い収入が
得られる会社への転職をもくろむ人が増えて
きます。ですから、これまでの歴史を振り返ると
アメリカでは過去の景気のいい時期でも
失業率は4パーセント台半ばでした。今回は
前回発表に比べ、0.1ポイントの悪化となったものの、
アメリカでは、これからさらに景気が良くなっても
失業率は殆ど変わらないでしょう。
 
 今回の発表では、非農業部門就業者数は
前月比15万6000人増加と、11月発表の20万4000人増
(【今回の修正値】)から減速し、市場予想(17万8000人増)も
下回りました。農業は季節変動が大きいので、
雇用統計では、農業部門の就労者の数は
除外されています。
 
 平均時給は26.00ドルと前月比0.10ドル増となり、
前年同月比2.9%のプラス。その伸び率は09年6月以来7年半ぶりの
高水準でした。給与水準が上がっているので、景気が
堅調であると確認された形となりました。
 
 この発表とアメリカの金融当局の意見からすると
昨年の見込み通りにアメリカは今年中に
3回の利上げをするものと予想できます。