東京都青少年育成条例の改定案に反対する声明 | こんな本があるんです、いま

東京都青少年育成条例の改定案に反対する声明

東京都青少年育成条例の改定案に反対する声明


2010年11月29日

今年6月の都議会で否決された「東京都青少年健全育成条例」の改定案が再提出された。改定案は前回あった「非実在青少年」という曖昧な用語が削除されただけで、すでにある児童ポルノ規制の範囲を越えて表現の規制強化となるという中身は全く変わっていない。また、創作物の規制では、「18歳未満」というくくりが削除され、規制範囲が拡大されている。


そして、今回の改定案では規制対象が、「性交または性交類似行為を不当に讃美し、誇張するような」「漫画、アニメーションその他の画像」と書かれており、マンガ・アニメの描写、表現を、公権力が恣意的に拡大解釈して規制できるようにするものであることが、よりはっきりした。創作物の規制対象は「描写した図書類」「映画等」となっており、「描写」は創作行為であるから、「描写」への規制は即ち創作への規制である。
先の都議会でも、都の青少年・治安対策本部は、こうした性的描写が青少年の健全な判断能力の形成を阻害する「学問的知見は見いだせていない」と答弁しており、およそ根拠に乏しい規制といえる。
このような規制強化は表現・出版の自由を著しく損ねる恐れがあり、改めて反対する。
都民に「児童ポルノをみだりに所持しない責務を有する」という文言は削除されたが、そもそも児童ポルノの定義が曖昧なままに議論を進めることが問題である。


さらに、今回、インターネットや携帯電話の青少年の使用についても、都知事が保護者に対し説明・資料の提出を求めることができるとするなど、家庭教育の自由を侵害する文言もある。プライバシー領域にまで行政、公権力が介入することを許してはならない。