データに残るクロス成功数/成功率は、味方に渡ったかどうかが基準になります。
でも私はちょっと違って。
「最終的にシュートに結びついたかどうか」が大事だと思っています。
鹿島アントラーズという強豪がいます。
サイドバックが多大な貢献を果たす戦術で三連覇を成し遂げたチームですが、彼らのクロス成功率は決して高くありません。
(例えば内田は2009年度のクロス成功率が約13%。上位選手は25%を超えますからおよそ半分です)
何故かというと、鹿島のクロスは味方に合うことを第一義としておらず、それよりも『得点機を演出する』ことを重視しているからだと思います。
もっとも顕著にその姿勢が現れるのが、内田がスピードに乗ったまま入れる、DFとGKの間を狙ったニアへの低いクロス。
受け手のFWにしてみれば厳しいことこの上ないクロスなのですが、相手DFからしてもオウンゴールの可能性などがあり対処が非常に難しいボール
です。
結果として、ルーズにファーまで流れてきたボールを興梠が詰めたり、トラップミスをマルキーニョスがかっさらったり、半端なクリアを野沢がミドルで決めたりしています。
傍から見ていると「うわ、鹿島ラッキーなゴールだなぁ」となるのですが、鹿島からしてみたらそのラッキーすらも織り込み済みで、全部ひっくるめて自分達で創り出した『得点機』だと考えているものと思われます。
そして私もその通りだと考えます。
昨日のヴェルディで言えば、後半、PA内の左サイドから、一樹と菊岡がそれぞれシュートを打ったシーンがありましたよね。
(どっちも似たような軌道で枠外になってしまいましたが)
あれはデータ上は相手が先に触っているのでクロス失敗なんですが、鹿島の考え方に基づけばクロス成功となります。
もう一つ、林に決められた2失点目も、最初に触っているのは(多分)ヴェルディDFであるものの、最終的にゴールになった以上、柏的にはクロス成功です。
そして勿論、こんな記事を書いている私も、全部クロス成功だと思っています。
要するに「もっとあっさりクロスを上げちゃってもいいんじゃない」と言いたいのです。
今は中の高さに自信がないせいか、どうもサイドで一工夫してからクロスを入れるパターンが多いです。
分からなくもないのですが、時間をかけたらそれだけ中も固まるわけで、そしたら余計に高さ勝負になってしまうんでない
と感じています。
実際それでクロスを上げるタイミングを失って、組み立て直しているシーンもよく見ます。
でもそれでは『得点機』の種すら作り出せないのですよね
だったらいっそ、相手に先に触られることを承知の上で、こぼれ球への嗅覚に賭けた方が、なんぼかゴールにつながるのではないでしょうか。
現実として昨日はそれで2回『得点機』が生まれましたし、そうなれば当然相手もクロスへの警戒が強まりますから、本来の平面勝負も戦いやすくなるように思います。
シュートは打たなきゃ始まらないのと同じく、クロスも上げなきゃ始まらないということでどうか一つ。
りゅーはーでした。