【冒頭の詩】
宇宙はもともと「真・善・忍」
忍び譲れば大物になる
忍んだ韓信は将軍になり
短気な項羽は民心を失った
「忍」は心の上に刃物
忍びこそ本物の技
【あらすじ】
「強い人間になりたい」これは誰もが抱く願いだろう。
だが、真の強さとは一体何なのか?
けんかなら誰にも負けないほどの怪力?
それとも、誰もが押し黙ってしまうほどの舌鋒(ぜっぽう)の鋭さ?
だが、今回の物語の主人公、韓信(かんしん)は違う。
韓信は、前漢を創立した劉邦(りゅうほう)につかえた将軍で、数々の戦いに勝利した名将だ。
実は少年時代、韓信はあるごろつきから辱め(はずかしめ)を受けた。
体格が立派で、武術にも優れていた韓信ではあったが、けんかを売ってきた相手にやり返すこともなく、ただひたすら耐え忍んだ(「韓信の股くぐり」)
周りから見れば、韓信は意気地のない、弱虫に映ったかもしれない。
だが、本当に心の弱い人間は、屈辱に黙って耐えられるだろうか?
つらいこと、苦しいことを前にしても、心は決して揺るがない。
これこそが真の強さではないのだろうか?
では「忍」の字を見てみよう。「忍」の上には、「刃」があり、その下には「心」がどっしりと構えている。
すなわち、心臓に「刃」物が突き刺さるほどのつらい目に遭っても、「心」はどっしりと構え、決して動ずることがない。これこそ「忍」の真髄なのである。
このほか、「大興(だいこう)和尚」の物語もご紹介。
どうぞお楽しみに。
【漢字について】
1、甲骨(こうこつ)文字:
四千年近い歴史を持つ漢字の中で、最古のものとして残っているのが甲骨文字。
殷の時代、国にとって重要なことがあると、亀の甲羅や牛の骨を焼いて占った。
そのひび割れで出た占いの結果は、刻して記録された。この際使われたのが、甲骨文字だ。
2、金文(きんぶん)文字:
甲骨文字の後、つまり殷・周から秦・漢の時代まで使われた文字。
青銅器に刻されたり、鋳込まれたりした。
ここでの金は、青銅器を指す。
当時は、官職に任命されたり、戦功を上げたりすると、それを青銅器に記録したという。
3、小篆(しょうてん)文字:
金文の後に誕生したのが篆書(てんしょ)
これは小篆と大篆に分かれる。
秦の始皇帝は、まちまちだった文字を統一し、標準書体を定めた。これが小篆である。
4、楷書(かいしょ):
南北朝から隋唐の時代にかけて標準となった書体。
漢の時代まで使われた隷書から発展したもの。
“Character cannot be developed in ease and quite.Only through experience of trial and suffering can the soul be stengthened,ambition inspired and success achieved. ”
【日本語訳】
人格は安楽と平静からつくられることはない。
挑戦と失敗の苦しみの経験をとおしてのみ精神は鍛えられ、野心は明確になり、成功に到達できるのだ。
~T.I.アルバム「NO MERCY」のインナー・スリーヴからのヘレン・ケラーの名言~