皆さんこんにちは,専任講師の三枝りょうです。
閏日です。うるうび。
東京事変の解散日です。
2月29日に生まれた人は,閏年以外の年,つまり平年は,いつ年を取るのかという話です。
昨日の話の続き 。です。
特別法は一般法に優先する。
法律の世界には,先人たちから受け継がれている,そんな素敵なポエムがあります。
一般法とは,東京であろうが紋別であろうが,子どもであろうがババアであろうが,あまねく適用されるルールのことを指します。
典型的なものは,民法です。
昨日出てきたやつです。
特別法とは,特定の者や取引についてのみ適用されるルールです。
会社法とか。ですかね。
特別法は一般法に優先する。
誤解をしていただきたくないのは,たとえば,株式会社については会社法があるので民法を使わない,とか,そういう意味ではありません。
会社法にも民法にも似たようなルールが載っかっていて,内容的にバッティングするときは,株式会社に関しては会社法に載っているルールを適用する。
そういう意味です。
で,まあ,そんなことはまったくもってどうでもよくて。ですね。
日本には,『年齢計算ニ関スル法律』 という法律があります。
ご紹介したい。
1項
年齢ハ出生ノ日ヨリ之ヲ起算ス
2項
民法第143条ノ規定ハ年齢ノ計算ニ之ヲ準用ス
いかがでしょうか。漢字とカタカナです。
いわゆる文語体の条文です。オールドファッション。
1項では,年齢計算の場合には,『初日不算入の原則』 を採用しない旨を定めています。
3月3日午後3時に生まれたら,歳については,生まれたその日(=3日)からカウントしろと。
つまり,『年齢計算ニ関スル法律』 は,期間計算に関して特別法ということになります。
年齢計算においては,民法140条は,適用除外です。
あまり長くなると閲読者さまが痺れを切らすので。
先を急ぎましょう。
2月29日生まれの人は,年齢は,29日からカウントする。
そういうことになります。大丈夫でしょうか。
で。改めて民法の条文です。
昨日 ,意味が分からないと申し上げたあれです。
143条
2項
週, 月又は年の初めから期間を起算しないときは,その期間は,最後の週,月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。
ただし,月又は年によって期間を定めた場合において,最後の月に応当する日がないときは,その月の末日に満了する。
143条2項ただし書きについて。
『最後の月に応答する日がないとき』 ってどういうことですかね。
これも,具体例で示せば一発で理解することが可能です。
3月31日を起算日として3ヶ月の場合。
3ヶ月後ですから,最終月は6月です。
6月の月末は30日です。31日はありません。つまり,応当日が,ない。
ないなら,仕方がないので月末30日を満了日とする。
6月30日24時が満了時点。
そういうことです。
で。です。
それを2月29日生まれの人の年齢計算に当てはめます。
『平成24年2月29日を起算日として1年』 とすると,1年後の最終月は,もちろん2月です。
ただし,応当日である 『29日』 はありません。
平成25年ですから。
じゃあどうなるか。
『その月の末日に満了する』 となっています。先述の通り。
つまり,平成25年2月28日です。
2月28日24時に満了,つまり28日24時に年を取る。という解釈らしいです。
満了日の翌日0時,つまり3月1日に加齢するのではありません。
ということは。です。
2月29日に生まれた人は,閏年であろうが,平年であろうが,いずれにせよ2月28日24時に年齢が加算されると。
そういうことになります。
法律的には。
Broadway Burger です。
ひたすらコレクションのために食べているという感じです。
『いつ年を取るのか』 という話とは別に,2月29日生まれの人に 『じゃあ,来年の誕生日にプロポーズするよ。』 と告げた時に,果たしてそれは何月何日を指すのかという深遠な話もあるのですが。
まあそれはまた,いつの日か機会があったらといたしましょう。