新作五行歌「見えない轍(わだち)を残すのだ」 | 「風の挽歌」

「風の挽歌」

葛原りょう×高坂明良ブログ

酒があれば
酒の話を
なんにもなければ
なんでもない
空の話を


夜は
見えない闇の
見えない宴
太陽の
預かり知らぬこと


犯人は
わたしだ
でも
お月さま
見逃してください


見えない
轍を残すのだ
詩人にだけ見える
この轍に
続け


こんなに歩いたのに
まだ続くのですか
けっして
胸を張れない道なのに
遥か


こころが
内出血して
苦しいのに
黙って
笑うしかない


つつじ
空を焼くには
まだ足りぬ
もっと
燃えろ


氷が
溶けて
話は終わった
そう
終わったのだ


複雑骨折の
過去が
そのままで
私が私に
くっついていない