東京オペラシティシリーズ 第73回
東京オペラシティコンサートホール
2013年05月19日(日)14:00開演

指揮 : 秋山和慶
ピアノ : ミシェル・ベロフ
東京交響楽団

曲目
ドビュッシー/ビュッセル編 : 小組曲
ラヴェル : ピアノ協奏曲 ト長調
ラヴェル : 左手のためのピアノ協奏曲 ニ長調
ラヴェル : ラ・ヴァルス

大好きなラヴェルのコンチェルト、その2作品をベロフのピアノで聴ける。
何とも素敵なことでしょう。

ベロフと言えば、デンオンやEMIでのドビュッシー全集が印象的であります。
特に前奏曲集第1巻は素晴らしい出来栄え。
粒だった音で潔い音楽作りで聴かせてくれます。

さて、ラヴェルのコンチェルト、アバドとの左手の録音以外にあるのでしょうか?
あの時は故障でドロップアウトしてから、左手だけOKということで
アルゲリッチの推薦で録音されたと記憶しています。

登場したベロフ、身体の感じは昔のまま、
流石にしわは増えたかな?
神経質そうにイスの高さを調整してから開始です。

最初は若干ノリが悪そうでしたが、直ぐに調子をつかんだ様子、
やはり前の通りのあの粒だった音色で進めていきます。
両手のコンチェルトは第2楽章が美しかったですね。
この楽章は名人ほど、ルバートを掛けたくなるらしいですが、
やはりシンプルに少しだけタッチのニュアンスで味付けする位がベストかと。
その点、今日のベロフは良かった。
続いての第3楽章もノリは良く気持ちよくクライマックスへ。

休憩後の左手のためのコンチェルト。
ウゴルスキの超絶的な名演を聴いてしまってから
なかなか満足のいく演奏に出会えないのですが、
今日のベロフはミスタッチなどはところどころ目立ちましたが、
特に少し感傷的な万華鏡の様な部分、キラキラ光る良い演奏でありました。
やはりラヴェル大好きであります。

最初の小組曲、これはやはりピアノで聴くべき曲ですね。
東響、ピアノコンチェルトではピッコロやTPで?なところはあったものの
弦の艶やかさ、ファゴット、クラリネットなど音が充実していますね。
昨日のウィーン響よりも良いところ沢山です。
10年後位はコンサート通いも大分変わるのでしょうか。

最後のラ・ヴァルスは秋山らしいカチとした音楽作りですが、
前進感も十分、そして秋山はリズム感が素晴らしいので
パリっと音楽が決まります。
若い指揮者だとこのアプローチは危険でありますが、
流石は年輪、確りとオケがついてきます。
共感の賜物なのでしょう。

流石は和製ハイティンク。
6月での東響定期での英雄の生涯も楽しみです。