サブプライムローンのからくり | だれも書かない★ニューヨーク1%未満★

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日本からは見えにくい、知られざるニューヨークやニューヨーカーのこと、たまにプライベートなことを書いています。

昨年後半あたりから日本の新聞でも目にしない日はないといっていい「サブプライムローン

それは一体何なのか、この↓のコラムでは、日本にお住まいの金融とは程遠いところにいらっしゃる方にもご理解いただけることを心がけて書きましたがいかがでしょうか。


旗この記事をUPした翌日にも、より分かりやすく読んでいただくために手を加えています。


今日は、ではそのサブプライムローンの焦げ付きが、どうして世界的に波及し、深刻な不況に突入するかもしれない、と危ぶまれるほどの混乱を巻き起こしたのかについてです。

そう、問題はここです。


モーゲージの会社は、自分ちのリスクを分散するために、貸したモーゲージをまとめて貸付債権として証券化し、投資家などに転売します。

つまり、こういうふうに考えれば分かりやすいかも^^
たとえばモーゲージの会社は1億円ずつのモーゲージを100まとめて100億円にして、それに対して15億円を借りるとします。投資家は、100億円に対して15億円ならま、リーゾナブルだし返済できるに違いないと思うとします。利子も悪くありません。

こうしてどんどん貸付債権が発行されていったわけです




そしてそれを買うのが、今流行りの「ヘッジファンド」の会社や投資銀行のヘッジファンド部門、保険会社などの機関投資家だったりします。こうして世界中の投資家たちが債権としてのサブプライムローン商品を購入したわけです。

日本で若くてリッチな企業家といえばIT関係でしょうが、ニューヨークでは代わりにヘッジファンド会社の経営者ということになるでしょう。

ヘッジファンドの会社はそれぐらい、一時はまるでタケノコのようにあちこちで設立されました。

ヘッジファンドとは、自分では資金を持たず富裕な投資家などから資金を募り、そのお金で相場トレンドを読み、金融派生商品を活用してファンドを運用する機関のこと。

より多くの投資家からより多くの資金を調達するためには、自分ちではほら、こんなに高利回りが期待できると、というところを見せなくてはいけません。

そんな彼らが目をつけたのが、リスクは高い分、高利率の返済利息に裏付けられたサブプライムローンだったのでしょう。不動産は上り調子だし、きっとしばらくはこのままいけるよ~ってな感じだったのでしょう。

しかし、高利率を追及するのはヘッジファンドの真髄なのでしょうが、サブプライムローン商品を「先物」で売買までするようになると、上手くいけばリターンはすごく大きいかもしれないけれどリスクはもっと高くなってしまいます。


こう言ってしまうと叱られるかもしれないけれど、投資も先物のレベルになってくると、賭けごと一緒でちょっと勝ちだすとどんどん大胆になって止まらなくなるのと同じなのかな、なんて心配に思う私は根が金融向きの人間ではないのでしょうね。


何せ我が家では、日本では家庭の主婦の方たちも気軽になさっているらしいFXにも手を出したことがありません。


先物系の、たとえばロング・ショートみたいなのって、今50ドルの商品を、2年後には100ドルになることを想定して、しかも今はお金がないから売掛で、つまりツケで買っちゃうようなものでしょ。それが100ドルになればいいけど、もし10ドルになっていたら・・・・

それでも2年後に50ドルは払わなくちゃいけないわけです。


もし先物買いなんて罪なビジネス手法がなく、現物でしか買えないのなら、ここまでの混乱はなかったかもしれないとわたしは思うのですが、夫に言わせると、それよりも何よりも、サブプライムローンに対する格付け評価が甘かったこと(↓の記事をご参考になさってください)、そのためにあまりに安易に貸付債権が大量に発行されすぎたことが問題だったということです


でもわたしが常々思っていることは、そもそも手持ちがないのに、未来の値段に賭けてマネーゲームに参加するって危険すぎる叫びということです。




こうしてサブプライムローンの信用リスクの顕在化は、この債権を組み込んだ金融商品そのものの信用リスクにまで波及したわけです。

この混乱はアジア、ヨーロッパにまで及んでいます。

つまりサブプライムローンを証券化した商品は世界中にまで散らばったということです。
または、心理的な効果も大きかったということでしょう。

ニューヨークでは、ベアスターンズが倒産一歩手前を、FRB(連邦準備銀行)の介入でJPモーガンに買収され最悪の事態は収拾されました。

けれど、リーマンも株価が急下降し、一時は倒産の危機も危ぶまれました。

その他、巨額な損失を出した企業が目白押しの現在、

勝ち組といわれている投資銀行すら、新たなるレイオフ、バジェットカットを急いでいます。

これからどうなっていくのかしら。

また、ニューヨークの不動産市場はどうなのか。

次回はその辺りから・・・^^




コロンバスサークルの新名所、タイムワーナービルの60階から見下ろすとこんな感じ。




高所恐怖症の人には手が出ないアパートです。値段も階もう~んと高いです。来年ぐらいはうんとお値段下がるのかしら~^^




旗サブプライムローンに対する格付け評価をした会社Moody'sについて、今週末のNY Times マガジンにこんな記事が出ています。ご参考までに。

Triple A Failure