NY知事の禁じられた遊び⇒辞任へ | だれも書かない★ニューヨーク1%未満★

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日本からは見えにくい、知られざるニューヨークやニューヨーカーのこと、たまにプライベートなことを書いています。

昨日、ジムのテレビスクリーンで知ったところによると、

スピッツァーさん、11時半ごろ、とうとう

霊救車みたいな黒塗りの車で自宅を出発し、辞任なさいました。

最後のスピーチは2分半に及ぶもの。

夫のスピーチの間中、傍らでずっと夫を見つめていた奥さんは、スピーチが終わると、

「ミセス・スピッツァー、それでご主人とは離婚するのですか?」

という「あんたの知った事じゃないでしょう」という質問は無視して、二人で部屋を出て行かれました。


実はこのニュース、わたしのオフィスでももちきりでした。


オフィスでは、まさにディール・メーカーという感じの、結構成功しているマダムたちが近くにいるんだけど、なんとその一人がニューヨーク・タイムズを読みながら、こんなことを言い出したのよ。


「あらま、この女の子、わたしのクライアントのテナントだわ~。この前仲介したばかり」

そう、ニューヨーク・タイムズには、スピッツァー氏が過去10年にわたって8万ドルを費やしたといわれている、国際的な高級コールガール斡旋所で働いていた4人の名前が出ていたのです。

そしてそのうちの一人は、なんと同僚のテナントだったのよ。

「あらら、あの子、ブッカー(クライアントと女の子が会う具体的な日程を決める仲介をする)だったのね~」


「え~、なんとまぁ!」


「でも、その女の子をテナントに決めるとき、クレジット・チェックしたんじゃないの?」

「もちろんよ~。クレジット・ヒストリーはExcellentよ」

「じゃぁ、彼女が勤めている会社はどうなの? まさか、そんな斡旋所だという触れ込みのはずはないし」

「マーケティング会社ということになっていたの。で、電話もして調べたらその会社は存在したわ」

「へぇ~」とわれわれは興味津津。



何かとタフでキツイことの多い仕事ですが、

この楽しい仲間たちと助け合い、冗談で笑い飛ばし、励まし合っている実感が何とも好きなんです。




「でもね、新聞によるとその会社はマネーロンダリングの会社の可能性もあるみたいね」

「でも、その子は20代のかわいらしい、礼儀正しい女の子なのよ」

その子がまさか貸したアパートから電話でそんなブッキングをしていたなんて・・・・

「でもね、先週の金曜日に彼女から電話があって、レントを支払おうと銀行からお金をおろそうと思ったらお金が下りないから、Certified Checkで払ってFEDEXで送りたいっていうのよ、すまなさそうに。今思えば、金曜日にはすでに銀行口座は凍結されていたのね」

「で、レントは届いたの?」

「もちろん、きちんとオーナーに届いたらしいわ」

と、仲よしの4,5人で盛り上がること、盛り上がること。


ご主人は全米30店舗にわたるブティックをもつにも関わらず、家にじっとしているのが性に合わず、厚い人望のたまもので5番街やパークアベニューに住む友人たちの不動産売買のお手伝いから始め、すごく成功しているジョーン(仮名)は、

「きっと奥さん、身なりにもかまわず、彼のお相手をきちんとしてあげなかったのよ。

やっぱり何年経っても、彼をデートの相手としてわくわくするように扱ってあげなくちゃね」

ジョーンとご主人は大の仲よし。

3人の20代のお子さんたちがいて、そのガールフレンドやボーイフレンドも家族同様に扱い、夏はハンプトンで楽しいパーティを企画してくれます。

この楽しい話題を提供してくれた超本人のリサ(仮名)は、

「これがうちのダンナだったら容赦しないところだわ。きっと今頃生きてはいられないでしょうよ。

それか体のパーツのどこかを失くしているはずね」とぷんぷん。


長年大手投資銀行でストレスの多い仕事をし、4年前退職、一生不自由なく暮らせるだけのお金は貯め、悠々自適(のつもり)でこの仕事を始めたんだけど、今や以前と同様に大忙しになってしまった、唯一シングルのアマンダ(仮名)は、

「わたしの元同僚たち(ウォールストリート)は、このニュースを知ったとたん、ざまぁみろってトーンで電話してきたわね」

といいつつ、最後にはみんな、

「3人もいる子供たちが本当にかわいそう」ということで落ち着きました。


ちなみに、そのブッカーさんのレントは3000ドルだったということです。

でも当然だけど、だれも詳しい住所を聞こうとはしません。


この辺りは、プライバシーということを体の芯まで叩き込まれている不動産のプロたちです。




わたし?

こういうとき、しみじみ実感させられるのは、

彼女たちはなんて清く正しい善良なアメリカ人なんだろうということ。

で、そんな彼女たちの前で、自分の意見は当然言えなくなってしまいました。



次回は、前回から保留しているマダム・クロードのご紹介、


そして、20代のとき、まるで頭をハンマーで殴られるほど強烈に、わたしの「男性観」を変えてしまった本のご紹介を兼ね、スピッツァーさんの辞任に関してのわたしの意見を書かせていただいてもいいかしら。

マダム・クロード・・・・・・60年代から70年代、世界の上流階級の紳士たちの黒革の手帳には必ずこっそりと記されていた秘密の電話番号だったのです。



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