いきなりの王子の登場にスタッフがざわめく。


「王子!・・・後の女の子は一体?」


王子様「俺が勧誘した。」


「勧誘って・・・。」


王子様「・・・姫なんだけど。駄目なわけ?」


キルはその言葉が分からなかった。


けれど、その言葉でスタッフのざわめきが


広がるのを目にした。


「ないです!王子と姫、ぴったりです!

王子には姫が必要ですもんね!」


スタッフらは王子の何かを知っているようだった。


笑わない理由、笑えない理由


それが何処かにあるのかも知れない。


王子はキルにこう言った。


真面目な王子様「お前が姫をやって、やめないかぎり、

俺が王子をやめないかぎり、俺はお前のこと、

一生守るって約束する。」


無表情だった王子の表情が少しゆるんでいた。


王子にとってのキルはそのくらい大きい


存在なのかもしれない。


その時である、社長の声と共に


王子らが入って来たドアからやってきた。


シズ「何事なの!?」


「あ、社長。」


社長、そう、王子の母が眼にしたのは


王子がキルの手を握り、こう言っていた。


真面目な王子様「やってくれるよな?」


困る姫君:守るって・・・

それを見た社長はキルを迷い込んだ


王子のファンと勘違いをし、


キルを押し、ケイをぎゅっと抱きしめた。


シズ「王子!!」


それに対して、ケイは無表情だったのに


怒ったような顔でこう言い、突き飛ばされたキルの


目の前に立ち、かばった。


突き飛ばされたキルは泣いていた。


泣き虫姫君:なんでぇええ~


怒りの王子様「ちょっと!この子、姫なんだけど!!」


泣き虫姫君:王子・・?


シズ「この子が姫・・・?」


社長、シズは王子の言う姫が分かっている。


笑える理由も、普通で居られるのも


全部姫を見つけるためのものだったのかも


知れない。


困った王子様「だから、この子を、さ・・・」


困った王子様:みんなが見たいのは・・・俺の笑顔


笑顔の王子様「ね?」


そう言うと、王子はニコリと微笑んだ。


それを見た社長は再び抱きしめた。


シズ「分かったわ、王子!なんとかやってみるわ!」


ケイの母はケイに甘かった・・・


王子様「・・・うん。」


それからボク、キルは王子の意のままに・・・


姫という芸名で王子と一緒の仕事をやることに


なっていったのである。


王子様「キル、大丈夫か?」


「キル?王子しか呼べぬニックネームか?」


姫君「う、うん」


自分から触っても嫌がらない彼に甘え、


日々、頼ってしまっていた。


初めての男友達と呼べる相手なのかも知れない。


その当たり前の日常が恋と呼べぬように


してしまうことも知らずに・・・。


これが僕が姫になった理由ーーー・・・。





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