姫になる前、辛い時、悲しい時


いつも、この公園にある


隠れるにはちょうどいい、丸い球の中に入る。


でも、そこは所々穴が開いている。


そこから暗い中に入るのである。


キルは荒い息とびっしょり濡れた服で


明らかに熱がある証拠である。


ーーー・・・あの時、以来かな?


こうやって、隠れるのは・・・。


あれは小学校4年生の終わり頃。


イジめられは、逃げて、隠れての繰り返し。


ここで泣いて、時が流れるのを待っていただけだった。


生きてても無駄って思えるくらいだった。


そんな時、声が聞えたのだ。


王子様「・・・誰か?いるのか?」


ひょこっと顔を出したのは幼い王子だった。


つまり、ケイがそこに現れたのである。


キルが気づいた時からTVに出てた


クールで笑わないトップアイドル・・・・。


王子は泣いていた彼女を見るなり胸が高まる。


ドキンっ


真面目な王子様「え・・・キミは・・・。」


あの時の女の子。


葬式で一目ぼれした笑顔の女の子。


今は泣いてるけど、王子の中で確信があった。


・・・・


王子様「あのさ、ちょっと来て!」


王子はキルの手をひっぱり、走っていく。


到着したのは現在、王子と姫が通っている


芸能事務所の小さなビルだった。


困る姫君「・・・。」


王子様「今、ここでオーディションしてるんだ。」


困る姫君「・・・?」


キルはなぜ、王子に連れてかれたのかさえも


分からぬままだった。


王子様「・・・そーだ、君の名前は?学年も・・・」


困る姫君「キ、キル・・・。

来年、5年生になる。」


5年生。その言葉で小学生と分かる。


王子は同学年と知り、嬉しそうにこう言った。


王子様「そっか!!じゃ、キル!行こう!!」


王子に連れてかれたのは


もちろん、スタッフ大勢いると思われる事務所。


キルは王子の後を無言で着いていく。


なぜなら、キルはこっち方面を来た事がないからだ。


迷子にもほどがあるのかも知れない。





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