サントリーカップ決勝大会! | ラグカフェ編集部の取材メモ

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2月18日、19日、味の素スタジアム・アミノバイタルフィールド(東京都、調布)でサントリーカップ決勝大会が開催された。

 

 

各都道府県でおこなわれた予選を勝ち抜いたチームが、日頃の練習の成果を発揮できる最後の大会。選手は後悔しない試合を、監督・コーチは選手たちに後悔させない試合を、そして、いままでチームをサポートしてきた保護者は、タグラグビーを通して成長した子どもたちの姿を。それぞれの想いが募った大会となっている。

 

 

 

 

今大会には東京ブロック代表として七国スピリッツ(以下、七国)も出場している。七国は過去二連覇を成し遂げているチャンピオンであり、全国のチームから挑戦をうける立場にある。しかし、そのプレッシャーからなのか、東京ブロック大会では、思うようなプレーができずにいた。プレー中にはまわりが見えておらず、ミスの連発。味方とのコンタクトも取れず、パスがとおらない。そこには彼らのいきいきとしたプレーは見られなかった。そうしたチーム全体の焦りによって、彼らはタグラグビーで学ぶ、もっとも大事なことを見失っていたように感じた。

 

 

東京ブロック大会から一か月。今大会は6年生最後の大会である。去年を振り返ると、卒業した先輩たちはタグラグビーを通して学んだことを理解していたと思う。いまの七国も先輩たちのように、タグラグビーを通して何を学んだかを理解してほしい。そのためにも、この大会は彼らの成長に大きな影響を与えるはず。

 

 

 

大会初日、七国のメンバーは落ち着いた様子。いつものようにアップをして、試合前に気持ちを高める。初戦はのみこまレッドウィングスとの試合。序盤は七国がリードしていたものの、2対1という僅差。お互い流れをつかみきれずにいた。そうした状況を打破してくれたのは、七国を支える小さなエース。彼女がトライを決めることで、チームは一気に流れをつかむ。彼女の存在は七国の大きな支えとなっているにちがいない。トライ後、そのまま流れをつかんだ七国は8対1で勝利した。

 

 

 

 

 

 

 

第一試合で勝利した七国は続いて第二試合へ。この試合が七国に試練を与えることになる。第二試合は安達タグラグビークラブとの試合。先制トライをとったのは七国。しかし、すぐに相手チームにトライを許し、前半を終了するころには2対1と逆転されていた。この状況から抜け出すためにも、エースのトライが求められる、そう思っていた人もいたのではないだろうか。しかし、それは望めなくなった。

 

 

七国のエースにドクターストップがかかった。後半、相手チームの選手と接触してしまい、地面に頭を強く打ってしまった。自分では起き上がることができず、試合は中断。医務室へと運ばれた。残った七国のメンバーはエース不在のなか、相手にリードを許しながらもなんとかドローに持ち込んだ。その後の審査結果は、幸いにも大事に至らなかった。しかし、試合への出場ができなくなり、七国は大きな戦力を失った。この結果にもっとも悔しい想いをしたのは彼女自身にちがいない。全国優勝を目標とし、まだまだチームメイトと一緒に試合がしたかったはず。

 

 

また、七国に立ちはだかった試練はこれだけではない。リーグ戦の最終試合、もう一人の選手が脚にケガをしてしまった。試合には勝利したが、これによりチームから2人の選手が離脱した。七国は8人の選手を登録している。大会規則では、出場可能選手が6人以下となった場合、チームは公式戦をおこなえず、オープン参加となる。七国の出場可能選手は6人。七国の全国三連覇はなくなった。

 

 

 

大会二日目の朝、亀田監督のまえに選手たちが集まっていた。その表情からは落ち着きが感じられた。試合前のアップでは笑顔さえこぼれていた。試合に出場できない選手たちは声をかけることで、出場する選手を鼓舞する。チーム全体が一つにまとまっていたのだ。

 

 

 

 

 

カップトーナメント初戦の相手は浦安ウィングス。そこでは、困ったようにプレーする選手は一人もいなかった。全員がいきいきと動き、ケガをしたメンバーからも出場選手に負けないくらい大きな声を出ていた。また、パパリッツやママリッツの応援も、彼らのプレーをより良いものにしていた。試合開始直前に、観客席から選手たちに声をかけ、その声に選手たちも手を振って応える。七国スピリッツに関わる全ての人たちが一体になっているような、そんな雰囲気をつくりあげていた。

 

 

対戦相手の浦安ウィングスも全力で七国に立ち向かっていた。両チームのプレーは見ていて楽しく、あっという間であった。あれだけ観客を魅了する試合はなかったかもしれない。あらためて七国の魅力に気づかされた。強さだけではない魅力に。結果は2対0で七国の勝利。大会規則により、七国は一回戦で敗退したチームと最後の試合にのぞむことになる。

 

 

 

 

 

浦安との試合終了後、七国の選手が泣いていた。「試合に勝ったのに次に進めない……」と。試合前のあの落ち着きは頭だけで理解していたものかもしれない。実際にその状況になれば想いはこみ上げてくる。悔しいに決まっている。そう簡単に経験することができない悔しさだ。このとき、泣いている姿を見た亀田監督は「目にゴミでもはいったの?」と声をかけた。その言葉に彼らしさを感じた。

 

 

 

 

青葉西タイタンズとの最終戦では、すべての人たちが全力だった。選手たちはもちろんのこと、パパリッツやママリッツは顔をくしゃくしゃにしながら応援した。彼らの最後の試合をひと時も見逃さないように。試合が終わるまで彼らの声援は続いた。そのまま七国は最終戦にも勝利し、無敗のまま大会は終えた。

 

 

 

 

 

すべての試合を終え、七国のメンバーは亀田監督のまえに集まった。亀田監督は「優勝したチーム以外、無敗のチームはお前たちがはじめてだよ」と言った。選手たちは涙を流している。試合に勝っても次へは進めない、その悔しさは計り知れないだろう。しかし、この大会で得たものは悔しさだけではない。タグラグビーで何を学んだか、はっきりとわかったはずだ。

 

 

 

 

 

 

ここまで彼らを成長させてきたのは誰なのか。それは亀田監督だけではないだろう。亀田監督に厳しく指導されたときに、選手たちの肩を抱きながら声をかけてくれるのは。休日を返上して、練習の手伝いをしてくれるのは。車の手配や昼食など、いつも万全な状態で試合にのぞませてくれるのは。

 

 

多くの人たちの支えがあって七国スピリッツは成立している。決してこの光景は当たり前ではない。すべての試合が終わったあと、彼らはそのことに気づいたはずだ。そして、タグラグビーを通して何を学んだかも理解したはず。彼らにはこれからもその気持ちを忘れずにいてほしい。また、後輩たちはこの大会を通して感じることがあるならば、それを忘れずに先輩たちに負けないチームになってほしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

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サントリーカップ決勝大会の風景

 

 

 

 

 

 

優勝はいずみの森ユナイテッドベアーズ!

 

準優勝は浦安ウィングス!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本当にお疲れさまでした!

 

(岡)