オールブラックスとテストマッチ!  | ラグカフェ編集部の取材メモ

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暑いですね。
夏真っ盛りです。

そんな真夏の真っ昼間に日本ラグビー協会へ行く。
到着する頃にはもう汗だくです。

できればショーツで行きたいくらいだけど、ドレスコードはないとはいえ、さすがにそれはまずかろうということでちゃんとズボンを履いて出席です。

本日の会見は、かねてよりウワサのあったオールブラックス来日についての正式発表です。
11月2日に秩父宮ラグビー場で(時間は未定)日本代表とオールブラックスは試合をします。
IRBからキャップ対象試合との認定ももらいました。
れっきとしたテストマッチです。

会見の模様は、例によって協会広報のyoutubeページで見ていただくのが良いでしょう。
ま、専務理事の話は早送りでいいと思います。


会見ではチャーチルの言葉を引用していました。
オールブラックス戦では最初の30分、フィジカルの真っ向勝負を挑んで、オールブラックスにどうすればいいか考えさせたいと話しました。
お!インテンシティってやつですね。
日本が毎度課題とされる、試合開始直後の集中力。
プレー強度を全員が上げられるか。(たぶん逆にやられるでしょう)


ヴェルブリッツのジェローム・カイノがニュージーランドを代表して出席しました。

リーダーグループや、若い選手にとってチャンス、という内容の発言をしていました。
ふむ。余裕で勝つ(勝てる)と思っている様子。(そりゃそうでしょうが)


「元」オールブラックスです。




ありがちなポージングですが、よくよく考えると変な組み合わせです。


さて、こうして会見では笑顔もみせるエディー・ジョーンズ監督ですが日本ラグビーに対しては腹に一物ありです。

会見終了後、囲みでのこと。

直後に迫った菅平合宿について、発表したスコッドも「何人参加かわからない」と。
会社や学校の都合で参加を止められている選手がいるようです。
もちろん、具体的なチームや学校名は出しませんが選手が日本代表合宿へ参加することをとがめる雰囲気があると語気を強めました。

エディーは吠えます。

ニュージーランドでは、すべてのチームがオールブラックスが強くなってほしいと思っている。だから代表に選ばれたら、どのチームもそれを優先すると。
しかし、日本はどうだろう。
日本代表を強くしたくない、と思っているとしか考えられない人々が存在している。
みんな本気で勝ちたいと思っていないんでしょう。
自分は本気で勝ちたいと思っている。
だから、もうトップリーグや大学のことはもう話さない。
自分ができることは、目の前にいる選手達を強化することだけだ。

いつか、この先、自分が年をとって、日本で休暇を過ごしに来たときもきっと日本のラグビーは今と同じような状況でしょう。
誰も、今の状況を変えたくないんです。
変わりたくないんです。

怪我をしていても、代表に来るべきです。
日本代表にはメディカルチームもあり、そのときのコンディションに応じてメニューを組むことができる。
より適切なメニューを与えられる。
大学にはそんな機能がないところもある。
そんなところにいるくらいなら代表に合流した方が良いのではないか。

竹中という選手がいたのを覚えていますか?
彼はこの1年何試合出場したでしょう。1桁くらいでしょう。それは何故ですか。

と、日本ラグビーの問題点を指摘しました。

ニュージーランドと日本ではラグビー選手の立場が違うので、一概に同列に語ることはできない。
かたやフルタイムのプレーヤー、こちらは会社員として企業に属するサラリーマン選手。
ニュージーランドでも、代表へ選手を派遣することを渋るチームがゼロではないだろう。
そういう意味ではなく、国をあげて、協会が主導して、「どのチームが優先されるのか」をはっきり示して、そのためのサポートをしなければ世界一はおろかトップ10も無理だという話。

その話をするエディーの姿からは、怒りよりもむしろ諦めや無力感が見えた。
「もう言っても無駄だろう」
そういう無駄なことにかかずりあっているヒマはない。
そう言いたげにも見えた。

おそらく、トップ10を目指すと公言した以上、そこへ向けて目の前の選手達には全力を尽くしてくれるだろう。
しかし、心のどこかで、今の協会、日本ラグビーの体制ではそれは無理だとわかってしまっているのではないだろうか。

この状況だとエディーにはトップ10という公約が実現できず、2015年以降の契約がなくなってもいくらでも言い訳ができる。
「リーグのチームが代表に協力的ではない」
「大学は、いつまでたってもインターナショナルレベルのラグビーを目指そうとしない、選手の才能を無駄にしている」
そう言われて「それはあなたの能力が足りないからだろう」と反論できるのか。

エディー・ジョーンズという人物に、日本を世界トップ10にすることができるか、世界一のチームへ導く能力があるかどうかはわからない。
しかし、彼が日本代表をもっと強く、日本の選手がもっと上手くなれると信じているのはわかる。
だからこそ、万全の体制を与え、その上で、彼の手腕や能力を批判しなければならないと思うのだが。

やはり、エディー・ジョーンズの言う通り、日本ラグビー界は本気で強くなろうという気がないのだろうか。


(尾)