夢はどこまで追うべきか | 猫痙攣

猫痙攣

鉄クズ拾い日記


クレムリン①~②巻増刷決まりました、ありがとうございます。

①巻は小部数ながらも、ジジイの小便走法で、版を重ねております。


「もうダメだ」と通算3億回目の挫折をしそうな時も(最近は挫折した事すら気付かない)このような吉報が届くと「まだヤれる!」と、新しい注射器を取り出す元気が湧いてきます、本当にありがとうございます。


これからも面白い話作りを心掛けますので、宜しくお願いします。(火柱の前で読経しながら考えたネタが、茶碗をチンチンしながら考えたネタより勝る保証がないのが辛い世界ですが)


ところで、私のグランマ(オーバー80)がいきつけのパーマ屋で、私が漫画なんぞを描いていると口を滑らせたらしいのです、そしたらそのパーマ屋さんが語って曰く「自分の娘もそういう美術系に進みたがっていたが、自分は反対してしまった」とのこと。


良くある話、というか、天文学的数字のクリエイター志望ニート予備軍が通る道なのですが、パーマ屋さんが続けて語るに「結局美術方面に進むのは諦めて、今度は吉本興業(NSCか?)に受かったが、それも反対してしまった」との事


普通「美術系を親に反対された、じゃあ吉本だ!」ってなるかね?余計反対されるがな。

その娘、才能あるぜ!(何の才能かわからんが)


しかしそのパーマ屋さんは「自分は娘の足を引っ張ってばかりなのかもしれない」と締めくくったそうだ。

再就職もままらない三十路前としては「いや正解!」と叫べるが、これは難しい問題だ。


子供の夢を後押ししてやるのも親の務めだが、夢ばっかり語るクソモラトリアムをぶん殴って目を覚まさせてやるのも親の務めだと思う。


しかし、その選択があってるかどうかは、子供がその世界で大成功するとか、クリエイターになりそこねた息子が引きこもりになって、たまに外出したと思ったら他人をわんさか殺してきました、とか明確なエンディングがない限り、わからない。


かく言う自分も、漫画家になりたいから漫画専門学校行かせろ→反対→でも就職も大学も行きたくないからデザイン学校でお茶を濁す。という、最も志の低い部類だったわけで、大かたの予想通り全く関係ない仕事につくわ、その仕事も転々とするわで、親の期待も「自殺はしても良いが人は殺すな」にグレードダウンしていったわけです。


それから紆余曲折(無職)を経て、有吉先生が言う所の「時代の捻じれからわいた虫」的に漫画デビューできたわけですが、だからと言って親が「俺たちの選択は間違ってなかったー!」と、カメラに向かって「大・成・功!」をしているかと言うと、全然そんなことはなく、むしろ不安の種が増えたんじゃないかと思う。


やっぱ親としては、定年まで働けるような定職について欲しいと思っているだろう。

幸いにも、カタギの会社員をやっていても、いつ会社が消滅するかわからん御時世なので、フリーと社員のリスクの差は変わらなくなってきていると思う(リスクしかない、とも言える)

だが仮に会社が存続していたとしても、何の相談もなしに、一身上の都合で辞めて来ていたり(お前に何の都合があるというのだ)と本当に悩みが尽きない。



増刷の喜びを語るつもりが、何故か将来の不安の話になってしまった。


若者は夢をあきらめんな!



3巻は6月23日発売予定

クレムリン(1) (モーニングKC)
カレー沢 薫
講談社


クレムリン(2) (モーニングKC)
カレー沢 薫
講談社 (2011-01-21)