ソメイヨシノの除染
朝から福島の富岡町へ。つい先月までは警戒区域で物々しいスクリーニングポイントを通らなければ入れなかったが、3月25日に警戒区域が再編されて入れるようになった。すぐに行かねばと思いながらも、24日に楢葉に行ってからはなかなか機会が持てず、今日ようやく走った。
有名な夜ノ森の桜並木は、昨年までは「快晴、満開の桜並木に人っ子一人いない」光景だったと聞いていたが、今日はとかく福島からハイヤーで乗り付けるマスコミばかりが目立った。何社もカメラが居座っていて、地元の人が車を停めるなり、片端からつかまえてコメントを求める。どの社もタイヤキを量産するかのように行動は同じ。地元の人が懐かしい桜を眺める折に、最初の数分ぐらいは待つのがせめてもの礼儀だろうと思う。ことあるたびに「被災者への配慮を」と声高に叫んでいるのは、彼ら自身のはずなのだが。
こうした場面で私が桜並木を撮ってもあまり意味はない。視線はどうしても別のほうを向く。
マニュアルにある一律の高さまで、高圧洗浄機で幹を洗い流された。
大通りを一歩離れると、ソメイヨシノの幹は手つかずだった。
そして、私自身はこんな写真ばかり撮って回っていた。
4月9日、富岡町